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暮らしと法律 · 公開: 2026.08.27 · 更新: 2026.09.14 · 7分で読めます

共同親権制度 —— 2026年4月施行、離婚後の家族と八王子市の支援窓口はどう変わったか

2026年4月に施行された改正民法で、離婚後の親権に「共同親権」という選択肢が加わった。選べる条件、単独親権になるケース、既に離婚した家庭の手続き、養育費の新制度、八王子市の相談窓口を整理する。

朱肉と丸い印章をモチーフにした和モダンな静物イラスト

2026年4月1日、離婚後の親権に関する制度が変わりました。これまで離婚後は父母どちらか一方だけが親権者になる「単独親権」しか選べませんでしたが、改正民法の施行により、父母双方が親権者になる「共同親権」も選べるようになりました。ただし自動的に切り替わるわけではなく、選び方にも条件があります。この記事では、共同親権を選べる条件と単独親権になるケース、すでに離婚している家庭の手続き、新設された養育費の制度、そして八王子市で実際に使える相談窓口までを順に整理します。

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何が変わったのか — 単独親権しかなかった制度に「選択肢」が加わった

2024年5月17日、「民法等の一部を改正する法律」が国会で成立しました。この改正法が2026年4月1日に施行され、離婚後の親権制度・養育費制度・親子交流のルールが大きく見直されています。法務省の整理によれば、改正の対象は「親権・監護に関する規定」「養育費に関する規定」「親子交流に関する規定」「養子縁組に関する規定」「財産分与に関する規定」の5分野にわたります。

このうち最も大きな変更点が、離婚後の親権のあり方です。これまでは離婚後、父母のどちらか一方のみが親権者となる「単独親権」しか選べませんでした。改正法の施行により、父母双方が親権者であり続ける「共同親権」も選べるようになったのです。制度としては新しい選択肢が加わった形で、単独親権が廃止されたわけではありません。すでに単独親権で離婚しているすべての家庭が自動的に共同親権へ切り替わるわけでもなく、どちらを選ぶかは家庭ごとの事情によって変わってきます。


共同親権を選べる条件、単独親権になる条件

共同親権は、離婚時に父母が話し合って「単独親権」か「共同親権」かを選ぶ選択制です。離婚したからといって自動的に共同親権になるわけではなく、父母双方の合意が前提になります。

本文画像: 法律の書類のクローズアップ

共同親権を選んだ場合でも、日常の子育てに関わる細かな判断は父母それぞれが単独で行えるとされる一方、進学先や重要な医療方針など子の人生に大きく関わる事項は父母が共同で決めることが想定されています。意見が対立し協議が調わない場合には、家庭裁判所に対し、特定の事項について一方の親が単独で親権を行使できる旨の審判を求めることができます。

一方で、改正法は共同親権を選べるようにする一方、家庭裁判所が単独親権と定めるべき場合も明示しています。主に次の2つのケースです。ひとつは、子の心身に悪影響が及ぶおそれがあると認められるとき(典型例は過去の子への虐待)。もうひとつは、父母の一方が他方から身体的DVに限らず、精神的DV・経済的DV・性的DVを受けるおそれがあるなど、父母が関わりを持つこと自体が困難で「父母が共同して親権を行うことが困難」と認められる場合です。

これら2つの類型に該当しない場合でも、共同親権とすることが子の利益を損なうと裁判所が判断するときは、単独親権が選択されます。判断は過去の事実だけでなく、将来にわたって悪影響が及ぶ可能性があるかどうかも含めて総合的に行われるとされています。共同親権を選ぶかどうかは父母の合意が起点になるとはいえ、最終的に子の利益を損なわないかという観点から家庭裁判所が関与する余地が残されている制度設計だと理解しておくとよいでしょう。

なお、共同親権の導入をめぐっては施行前から反対意見も根強く、DVや虐待の有無を家庭裁判所が的確に認定できるかという懸念が法律の専門家や当事者団体から指摘され続けています。この記事では特定の立場を史実として扱わず、「制度としてどう定められているか」という事実の範囲で解説します。


既に離婚している家庭も対象になる — ただし家庭裁判所への申立てが必要

共同親権の対象になるのは、施行日(2026年4月1日)以降に離婚するケースだけではありません。それ以前にすでに離婚し、単独親権となっている家庭も、共同親権へ変更することが可能です。

ただし、この変更は父母同士の話し合いだけでは成立しません。家庭裁判所へ「親権者変更調停」または「審判」を申し立てる必要があります。話し合いで決められた通常の離婚時の親権選択とは異なり、既に確定している親権を後から変更する手続きになるため、裁判所を通す分だけ時間と手間がかかる点は押さえておく必要があります。

八王子市を含む家事事件(離婚調停、養育費請求、面会交流、遺産分割、相続放棄、成年後見等)は、東京家庭裁判所立川支部が管轄しています。立川支部の管轄区域には八王子市のほか、日野市・あきる野市・西多摩郡の一部(日の出町・檜原村)が含まれ、庁舎は東京都立川市緑町10-4にあります。親権者変更調停の申立てを検討する場合、まずはこの立川支部が窓口になると考えておくとよいでしょう。

もっとも、施行から間もない制度である以上、実際に立川支部でどれだけの親権者変更調停・審判が申し立てられているかという件数の推移は、本稿執筆時点ではまだ公的な統計として確認できていません。制度の利用実態が明らかになるのはこれからで、今後の広報や統計公表を注視する必要がある部分です。


法定養育費と先取特権 — 取り決めをしなかった場合の備え

親権制度と並んで改正されたのが、養育費に関するルールです。これまで養育費は、離婚時に父母の話し合いで金額を決めるのが基本でした。しかし、話し合いがまとまらないまま離婚し、結果的に養育費の取り決め自体がされないケースも少なくありませんでした。改正法はこの問題に対応するため、「法定養育費制度」を新設しています。

法定養育費制度は、協議離婚により離婚し、かつ離婚の際に養育費の取り決めをしなかった場合に、法律上当然に一定額の養育費を請求できるようにする仕組みです。2025年11月28日、法務省は法定養育費の額を子1人あたり月額2万円とする方針を決定したと報じられました。子が複数いる場合は人数分を単純に掛け合わせて算定するため、子2人なら月4万円、子3人なら月6万円が目安になります。この制度が対象とするのは子の最低限の生活水準を維持するための費用に限られ、教育費や医療費など個別の事情までは反映されない点には注意が必要です。この制度は施行日(2026年4月1日)以降に離婚したケースに適用されます。

もうひとつの重要な変更が、養育費の回収を後押しする「先取特権」の付与です。改正民法により、養育費請求権には「一般の先取特権」、つまり他の債権者より優先して弁済を受けられる権利が与えられました。これにより、養育費が支払われない場合に、調停や裁判の手続を経ずに相手方の財産(給与など)に対して強制執行を申し立てることが可能になり、養育費の回収がしやすくなるとされています。先取特権が付与される具体的な額については法務省令で定めるとされており、関連省令は2025年12月12日に制定されたことが法務省のページで確認できます。


八王子市の相談窓口 — 養育費・親権をどこに相談できるか

制度が変わっても、自分の家庭にどう当てはまるかを一人で判断するのは簡単ではありません。八王子市は、市内在住のひとり親家庭の親や、離婚後に子どもを養育する予定の市内在住の親を対象に、「養育費などの法律相談」を実施しています。会場は八王子駅南口総合事務所相談室で、弁護士による無料相談が受けられます。令和8年度は毎月第4金曜日(12月のみ第3金曜日)に開催されており、この相談は2026年4月の改正民法による共同親権制度・法定養育費ルールの変更にも対応しているとされています。

相談は予約制で、1名あたり35分、定員4名の先着順(初回優先)です。予約は電話042-620-7362で受け付けており、受付は相談月の1日から、受付時間は8時30分から17時まで(土日祝日を除く)となっています。定員が限られているため、相談を希望する場合は月初めのうちに電話を入れておくのが確実です。

このほか、市役所本庁舎4階の子育て支援課(ひとり親支援担当)、サザンスカイタワー八王子4階、八王子東町センタービル8階でも、生活相談・就労相談・家計相談に加えて、離婚前後の相談(養育費・親子交流・親権等)を受け付けています。制度の枠組みを理解したうえで、実際にどう進めるかは、こうした窓口で個別の事情に沿って確認するのが近道です。


まとめ

2026年4月の改正民法施行により、離婚後の親権は単独親権だけでなく共同親権も選べるようになりましたが、選択には父母双方の合意が前提で、DVや虐待のおそれがある場合は単独親権が維持されます。既に離婚している家庭が共同親権へ変更するには家庭裁判所への申立てが必要で、八王子市を含む地域は東京家庭裁判所立川支部が管轄します。あわせて、養育費を取り決めなかった場合の法定養育費制度や、養育費回収を後押しする先取特権も新設されました。制度の適用は家庭ごとの事情によって変わるため、八王子市の「養育費などの法律相談」など専門家に相談できる窓口を早めに活用することをお勧めします。


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暮らしの手続きで迷ったら

相続や空き家、成年後見といった手続きは制度が入り組んでいて、「まずどこに相談すればいいのか」が分かりにくいものです。桑都手帖は、八王子で暮らす方に向けて制度の基本を記事にまとめています。

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カヅキ

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桑都手帖 編集者

ものづくりや意匠設計を学んだ経験をもとに、八王子の風土・歴史・伝統工芸を現代につなぐ記事を書いています。暮らしの手続きについても、調べたことをそのまま書き留めています。