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工芸とデジタル · 公開: 2026.08.21 · 8分で読めます

八王子市の電子申請、今どう使う —— LoGoフォーム移行と高齢者スマホ購入補助の両輪

「東京共同電子申請・届出サービス」終了後、八王子市の電子申請はLoGoフォーム・マイナポータル中心へ切り替わった。税証明書オンライン申請の条件と、並行して進む高齢者スマホ購入補助の仕組みを整理する。

資料保管庫に整然と並ぶ木製の引き出し

八王子市への申請・届出は、いまマイナポータルと「LoGoフォーム」という2つの窓口が中心になっています。これまで使えていた「東京共同電子申請・届出サービス」は令和7年(2025年)3月末で経過措置を終え、姿を消しました。この記事では、切り替わった電子申請の現在地と、税証明書のオンライン申請の条件、そしてスマホを持たない高齢者を置き去りにしないための購入費補助制度を、一次資料に基づいて整理します。


連載「市役所とデジタル」第7回この連載をまとめて読む

八王子市の電子申請は今どう使うのか —— LoGoフォームとマイナポータル

八王子市公式サイトの「電子申請・届出」ページは、電子申請を「市への申請や届出を、自宅や外出先などからインターネットを利用して行うことができるサービス」と説明しています。パソコンやスマートフォンから夜間・休日でも手続きできる点が利点として挙げられており、案内されているシステムは主に次の2つです。

  • マイナポータル(デジタル庁が運営する政府のオンラインサービス。マイナンバーカードを使った本人確認を前提とする手続きで利用)
  • LoGoフォーム(自治体向けのノーコード電子申請・アンケートツール。専門的な知識がなくても申請・申込・予約フォームを作成でき、集計・グラフ化が迅速に行える点が特徴とされる。LGWAN環境とインターネット環境の双方で利用可能)

八王子市は、福祉分野の一部手続き(「サービス等利用計画案」「サービス等利用計画(本計画)」「モニタリング報告書(継続サービス利用支援)」の受付など)で、LoGoフォームを使った電子届出サービスの運用を行っています。

マイナンバーカードを使う一部のオンライン申請では、「マイナサイン」という専用アプリの利用が案内されています。手続きの流れは、まずマイナンバーカードの券面事項入力補助用暗証番号(数字4桁)を入力してカード情報を読み取り、その後画面に表示されるQRコードを「マイナサイン」アプリで読み取ったうえで、署名用電子証明書の暗証番号を入力して電子署名を行う、という2段階の認証プロセスになっています。

電子申請の問い合わせ先は「総合政策部デジタル推進課(デジタル推進担当)」(電話:042-649-6044)です。


旧「東京共同電子申請・届出サービス」はなぜ終わったのか —— 令和7年の移行スケジュール

八王子市を含む東京都内の多くの自治体は、かつて都と区市町村が共同で運営する「東京共同電子申請・届出サービス」を、電子申請の受付窓口として使ってきました。この共同サービスは、都内自治体ごとに利用終了のタイミングが異なる形で段階的に縮小されてきた経緯があります。

たとえば渋谷区は令和5年(2023年)3月16日をもって同サービスの利用を終了しており、他区市もそれぞれ個別のタイミングで移行を進めてきました。全体としては、令和7年(2025年)1月10日以降の新規の電子申請・届出は「電子申請システム LoGoフォーム」へ移行し、それ以前(令和7年1月9日まで)に受け付けた申請については、経過措置として令和7年3月31日までは引き続き東京共同電子申請・届出サービス上で手続きが完了できる、という移行スケジュールが東京都主税局など複数の関連ページで案内されています(宿泊税の電子申請をeLTAXへ移行する際の告知文などにこの経過措置の説明があります)。

八王子市についても、電子申請・届出ページの案内システムが現在はLoGoフォームとマイナポータル中心の構成になっていることから、都内自治体全体の移行スケジュールと同時期に同様の切り替えを経たとみられます。

この経緯は、都内自治体が横並びで使ってきた広域共同システムから、各自治体・各業務ごとに異なる個別システム(LoGoフォーム、マイナポータル、税務専用のオンライン申請サービスなど)へと分散していく、近年の自治体DXの一断面を示しています。


税証明書のオンライン申請 —— 対応証明書・手数料・必要なもの

税務関連の証明書については、八王子市は個別の「オンライン申請サービス」ページで詳細を案内しています。パソコン・スマートフォンからインターネットで申請でき、証明書は窓口受け取りまたは郵送受け取り(郵送の場合は到着まで約1週間)が選べます。

対応する証明書は、個人住民税課税(非課税)証明書(直近6年度分)、納税証明書(直近4年度分)、軽自動車税納税証明書、完納証明書、固定資産証明書(直近6年度分)、資産・無資産証明書、償却資産証明書の7種です。

申請に必要なのは、有効な署名用電子証明書を搭載したマイナンバーカードです。決済手段はクレジットカード(VISA・Mastercardなど)またはPayPayに対応し、動作環境の推奨はスマートフォンがiOS/Android最新版、パソコンではSafari・Google Chromeの最新版とされています。

手数料は証明書1通につき300円(郵送の場合は別途郵送実費)ですが、令和8年(2026年)7月1日から手数料が改定される予定であることが案内されています。

なお、この手数料改定は、市が進める窓口キャッシュレス化と同時期に予定されている八王子市手数料条例改正の一環とみられ、条例改正全体ではコンビニ交付分は基本据え置き、戸籍謄抄本の写しは1通350円に引き下げという内容が確認されています。


高齢者のデジタル格差対策 —— スマートフォン購入費補助が2年連続で実施される理由

電子申請やマイナポータル、キャッシュレス決済など、市のデジタル施策の多くはスマートフォンの保有を前提としています。この前提を下支えする施策として、八王子市は高齢者向けのスマートフォン購入費補助事業を2年連続で実施しています。

令和7年度事業「シニア世代のスマホデビューを応援!」(データ活用による高齢者DX推進事業)は、令和7年(2025年)9月1日から令和8年(2026年)2月28日までの実施予定で、市に住民登録がある65歳以上でスマートフォンを初めて購入する人(ガラケーからの機種変更も対象)を対象としていました。新規購入費用を最大3万円まで補助し、端末本体のほか充電器・契約事務手数料も対象経費に含む内容です。指定の4キャリア(NTTドコモ・KDDI・ソフトバンク・楽天モバイル)の店舗での購入が条件で、購入時にスマートフォン教室への参加が求められました。

この事業は、予算額に達したため令和8年(2026年)2月6日で受付を終了しています。当初予定の2月28日を待たず1か月近く早く締め切られたという事実は、高齢層のスマートフォン需要・行政デジタル化への追随ニーズの大きさを読み解く材料になります。

後継の令和8年度事業「高齢者のスマートフォン活用支援事業」は、令和8年(2026年)6月1日から令和9年(2027年)2月28日まで(予算額に達し次第終了)の実施です。対象は、申請日時点で八王子市に住民票があり、令和9年3月31日時点で満65歳以上、指定店舗で自ら使用するためのスマートフォンを初めて購入し通信契約をした人で、ガラケーからの機種変更に加え、マイナンバーカードを読み取る機能のないスマートフォンからの機種変更も対象に含まれる点が、令和7年度事業からの拡充点とみられます。補助額は対象経費合計額に対し上限3万円です。

この事業は、東京都が実施する「高齢者のデジタルデバイド解消に向けたスマートフォン活用支援事業」の枠組みのもとで、区市町村が実施主体となる仕組みの一つとして八王子市が参加しているものです。指定店舗に電話予約のうえ来店し、スマホ教室(個別相談を含む)で基本操作等の講座を受講できます。


電子申請にも「まだ届いていない範囲」がある —— 対象手続きの限界

八王子市自身の案内ページには「電子申請が可能な手続きは一部に限られています」という一文があり、市のすべての行政手続きがオンライン化されているわけではないことを市が明言しています。対象手続きの全リストは別ページの「手続き一覧」で確認する形になっており、すべての手続きが一覧で一目に見渡せる状態にはなっていません。

このことは、これまで連載で扱ってきた「書かない窓口」(フロントヤード改革)や「マイナアプリ」統合が目指す“窓口に行かなくても・何度も書かなくても済む”という将来像に対し、電子申請という個別の入り口の面ではまだ発展途上であることを示しています。DX推進計画という全体計画と、その計画のもとで実際に稼働している個々のサービスの間には、まだ埋まっていない距離があるという構図が見えてきます。


まとめ

「東京共同電子申請・届出サービス」の終了という地味な制度変更の裏で、八王子市の電子申請はLoGoフォームとマイナポータルという2本柱へ移行し、税証明書のオンライン申請も条件付きながら利用できる体制が整っています。一方で、その利便性を支えるスマートフォンを持たない高齢者に向けては、購入費補助という下支えの制度が2年連続で組まれ、想定を上回る需要で早期に締め切られるほどの反響を集めました。便利になる仕組みと、そこから取り残されないための仕組みは、同時並行で少しずつ形になってきています。


この連載の他の記事

連載「市役所とデジタル」は、八王子市が進めるデジタル化の個別施策を一つずつ取り上げてきたシリーズです。

参考文献

八王子市公式ホームページ「電子申請・届出」「電子申請・届出(インターネットからの申請・届出)サービス」「電子申請・届出サービス」「サービス等利用計画案等の提出に係る電子届出サービスの運用について」「電子申請サービス」「オンライン申請サービス」「令和7年度データ活用による高齢者DX推進事業『シニア世代のスマホデビューを応援!』は終了しました」「スマートフォンの購入費用を補助〈令和8年度高齢者のスマートフォン活用支援事業〉」 / 東京都主税局「東京共同電子申請・届出サービスからeLTAXへの利用移行のお願い」 / 東京共同電子申請・届出サービス「利用終了〈渋谷区・令和5年3月16日〉のお知らせ」 / 東京都デジタルサービス局「高齢者のデジタルデバイド解消に向けたスマートフォン活用支援事業」

この記事は連載「市役所とデジタル」第2話です (全2話・更新中)

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カヅキ

カヅキ

桑都手帖 編集者

ものづくりや意匠設計を学んだ経験をもとに、八王子の風土・歴史・伝統工芸を現代につなぐ記事を書いています。暮らしの手続きについても、調べたことをそのまま書き留めています。