特殊詐欺、東京都の被害額は半年で344億円 —— 八王子で高齢の家族を守るために今日できること
東京都の特殊詐欺被害は令和8年上半期で約344億円。9月の「高齢者悪質商法被害防止共同キャンペーン月間」に合わせ、都と八王子市の相談窓口・電話番号を整理する。

この記事の目次
東京都内の特殊詐欺被害額は、令和8年(2026年)1〜6月の半年間だけで約344億8,696万円にのぼります。前年同期より108億円以上増えた計算です。東京都はこの状況を受け、9月を関東甲信越ブロック共同の「高齢者悪質商法被害防止共同キャンペーン月間」と定め、相談窓口の周知を強化しています。この記事では、都内の被害の実態を数字で押さえたうえで、離れて暮らす高齢の家族が心配なとき、八王子で今日から使える相談窓口を整理します。
結論 —— 家族に高齢者がいたら今日確認すべきこと
東京都は関東甲信越ブロック(1都9県6政令指定都市と国民生活センター)と共同で、令和8年9月を「高齢者悪質商法被害防止共同キャンペーン月間」と定めています。背景にあるのは、都及び都内区市町村に寄せられた60歳以上からの消費生活相談件数が令和7年度に約5万件へ達し、相談全体の3分の1を超えているという実態です。高齢者を狙う手口は特殊詐欺だけでなく、訪問販売や点検商法といった悪質商法も含まれ、いずれも本人が「家族に心配をかけたくない」「恥ずかしい」と感じて相談をためらいがちな点が、被害の発見を遅らせる要因になっています。
もし実家の親や祖父母と離れて暮らしていて「最近、様子がおかしい」「知らない業者の話をしていた」と感じたことがあるなら、まず本人に電話番号を伝えておくべき窓口が2つあります。東京都消費生活総合センターが運営する「高齢者被害110番」(03-3235-3366)と「高齢消費者見守りホットライン」(03-3235-1334)です。加えて、八王子市内であれば地域包括支援センター(高齢者あんしん相談センター)も消費者被害の相談を受け付けています。この記事では、なぜ今このキャンペーンが必要とされているのか、その根拠となる数字から見ていきます。
東京都の特殊詐欺、半年で被害額344億円 —— 実態を数字で見る
東京都都民安全総合対策本部が公表している「特殊詐欺認知状況(令和8年)」によれば、令和8年1〜6月(暫定値)の都内における特殊詐欺の認知件数は3,138件で、前年同期比+444件と増加しています。被害総額は約344億8,696万円にのぼり、前年同期比では約108億8,520万円の増加です。半年間の増加額だけで100億円を超えている点に、この半年の深刻さが表れています。
手口別の内訳を見ると、最も被害額が大きいのは「SNS型投資詐欺」で793件・約157億422万円。次いで警察官や金融庁職員などを装う「ニセ警察詐欺」が709件・約85億856万円、SNSで交際関係を装う「SNS型ロマンス詐欺」が253件・約43億9,688万円と続きます。従来型として知られる「オレオレ詐欺」は358件・約13億7,254万円、「還付金詐欺」は387件・約9億5,224万円、「架空料金請求詐欺」は339件・約21億1,984万円です。
件数だけで見ればオレオレ詐欺や架空料金請求詐欺も一定数ありますが、被害額ベースではSNSを起点とする投資詐欺・ロマンス詐欺の比重が大きいことが分かります。1件あたりの被害額を単純計算すると、SNS型投資詐欺は約1,980万円、SNS型ロマンス詐欺は約1,738万円となり、電話を使った従来型の手口に比べて1件あたりの金額が大きくなりやすい傾向がうかがえます。なお、令和8年4月1日から手口の分類方法自体が変更されており、SNS型投資詐欺・SNS型ロマンス詐欺は今回から独立区分として集計されるようになった項目です。全国では、警察庁の公表によると令和7年(2025年)の特殊詐欺被害額は1,423.1億円に達しており、東京都はその中でも被害の大きい地域のひとつになっています。
「高齢者悪質商法被害防止共同キャンペーン月間」—— 都の啓発と特別相談
こうした状況を受け、東京都は令和8年9月を「高齢者悪質商法被害防止共同キャンペーン月間」として、関東甲信越ブロック(1都9県6政令指定都市・国民生活センター)と共同で啓発活動を行っています。具体的には、ポスター3,500部・リーフレット175,000部・ステッカー9,450部を作成・配布し、都営地下鉄や都営バスの車内広告でも呼びかけを行っています。
月間中の目玉のひとつが特別相談です。9月28日(月)・29日(火)・30日(水)の3日間、午前9時から午後5時まで実施されます。対象は60歳以上の高齢者本人だけでなく、家族やホームヘルパーなど周囲で見守る立場の人も含まれます。特別相談の期間中は普段より相談員の体制が手厚くなっているため、日頃から気になっていることがあれば、この期間にまとめて相談するのもひとつの方法です。
常設の相談窓口としては、東京都消費生活総合センター(新宿区神楽河岸1-1 セントラルプラザ16階)が運営する「高齢者被害110番」(03-3235-3366)と「高齢消費者見守りホットライン」(03-3235-1334)の2つがあります。前者は主に高齢者本人からの相談、後者は家族や周囲の人が「様子がおかしい」と感じたときの見守り相談という役割分担です。どちらも本人が電話をかけにくい場合でも、家族が代わりに相談できる窓口である点は覚えておく価値があります。交通広告や配布物での周知は、こうした窓口の存在自体をまだ知らない高齢者や家族に向けたものであり、月間の啓発活動そのものが「まず窓口を知ってもらう」ことを目的にしていると言えます。
八王子市内で今すぐ使える相談窓口
東京都全体の窓口に加え、八王子市内にはより身近な相談先として「高齢者あんしん相談センター」(地域包括支援センター)があります。市内に21か所設置されており、担当地区は町名ごとに割り振られているため、実家がある町名によって連絡先が変わります。
このセンターは本来、介護保険の相談や各種福祉サービスの案内、認知症に関する相談を主な業務としていますが、八王子市の公式ページでは「消費者被害の防止や相談の支援」も行うと明記されています。つまり、日頃から高齢者本人や家族と接点のある地域の窓口が、詐欺被害の相談も受け付けているということです。
どこに連絡すればよいか分からない場合は、統括窓口である八王子市福祉部高齢者福祉課(地域包括支援担当)に電話(042-620-7244)をかければ、担当地区のセンターを案内してもらえます。日頃から介護保険の申請や福祉サービスの利用相談などで関わりのある窓口だからこそ、訪問や通所のたびに家の様子や本人の言動が変わっていないかを見守りやすく、詐欺の兆候にも気づきやすいという側面もあります。実家の担当センターがどこか分からない場合は、事前に町名から調べておくと、いざというときにすぐ連絡できます。東京都の相談窓口と八王子市のセンター、どちらに連絡しても構わないため、まずは覚えている方・かけやすい方に連絡するという考え方でよいでしょう。
手口の変化と、金融機関側の対応をめぐる動き
特殊詐欺の手口は年々変化しており、東京都の統計上も令和8年4月1日から分類方法自体が見直されました。従来は「オレオレ詐欺」「還付金詐欺」といった対面・電話中心の手口が主流でしたが、現在はSNSを起点とする投資詐欺・ロマンス詐欺が独立区分として集計されるようになったこと自体が、手口の重心がSNSへ移っていることを示しています。電話口で「息子」「孫」を名乗る従来型の手口だけを警戒していると、SNSの投稿や広告をきっかけに始まる投資勧誘・恋愛感情を利用した勧誘には気づきにくいという課題も浮かび上がります。
こうした流れの中で、金融機関側の対応にも変化の兆しがあります。報道によれば、厚生労働省と金融庁は、認知機能が低下した高齢者を金融機関の窓口担当者が把握した際、本人の同意を得ずに地域包括支援センターなどの福祉機関へ連絡できる仕組みの導入を検討していると報じられています。実現すれば、これまで個人情報保護の観点から連絡をためらっていた金融機関が、成年後見制度の利用などへつなげる橋渡し役を担いやすくなる可能性があります。
これまでも金融機関の窓口が高額の出金・振込に気づく場面はありましたが、その先の福祉機関への引き継ぎが本人の同意を前提としていたため、認知機能の低下などで同意そのものが難しいケースでは支援につながりにくいという課題があったとされます。地域包括支援センターや高齢者あんしん相談センターが、介護保険の相談窓口であると同時に消費者被害の相談も受け付けているのは、こうした「福祉」と「消費生活相談」の間をつなぐ役割が求められているためとも考えられます。ただし、これは報道段階の情報であり、金融庁・厚生労働省による公式な指針改定の文書は本稿執筆時点では確認できていません。制度化の時期や具体的な仕組みについては、今後の公式発表を待つ必要があります。
まとめ
東京都内の特殊詐欺被害額は令和8年上半期だけで約344億円にのぼり、前年同期から100億円以上増えています。9月は「高齢者悪質商法被害防止共同キャンペーン月間」として、都の特別相談(9/28〜30)や常設の電話窓口が周知される時期です。八王子市内であれば、身近な高齢者あんしん相談センター(地域包括支援センター)も消費者被害の相談を受け付けています。手口はオレオレ詐欺のような電話中心のものから、SNSを起点とする投資詐欺・ロマンス詐欺へと重心が移りつつあり、警戒すべきポイントも変わってきています。離れて暮らす家族がいるなら、この機会に窓口の電話番号を一緒に控えておくとよいでしょう。
参考文献
暮らしの手続きで迷ったら
相続や空き家、成年後見といった手続きは制度が入り組んでいて、「まずどこに相談すればいいのか」が分かりにくいものです。桑都手帖は、八王子で暮らす方に向けて制度の基本を記事にまとめています。
具体的なご相談は、まず八王子市の無料専門相談(法律・相続・不動産・税務など/予約制・無料)が入口になります。
こうした暮らしの手続きの記事は、連載「暮らしと法律の手帖」で続けています。
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