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暮らしと法律 · 公開: 2026.10.19 · 7分で読めます

住まいの防犯対策緊急補助金 —— 空き巣・強盗増加の今、八王子市が最大2万円を補助する仕組み

図書室の書架に整然と並ぶ革装丁の書物

防犯カメラやカメラ付きインターホンを取り付けたいと考えているなら、まず知っておきたい制度があります。八王子市は「住まいの防犯対策緊急補助金」で、防犯対策品の購入・設置費用の2分の1、上限2万円を補助しています。対象は防犯カメラだけでなく、サムターンカバーや防犯砂利まで12品目に及びます。申請期限は令和9年(2027年)2月1日で、総予算8,500万円のうち既に4割近くが使われています。制度の中身と申請方法、そしてこの補助金が生まれた背景にある全国的な犯罪動向を整理します。


結論 —— 防犯カメラからサムターンカバーまで、最大2万円を補助

八王子市が実施する「令和8年度八王子市住まいの防犯対策緊急補助金」は、住宅の防犯対策品の購入・設置費用について、工事費・購入費の2分の1、上限2万円(1,000円未満は切り捨て)を補助してくれる制度です。複数の防犯設備を同時に導入してまとめて申請することもできますが、合算しても上限額が2万円を超えることはありません。たとえば防犯カメラとカメラ付きインターホンを同時に導入し、合計の工事費が5万円だったとしても、補助されるのはあくまで2万円までという計算になります。

対象となる防犯対策品は幅広く、12品目に分かれています。屋外に設置する防犯カメラ、カメラ付きインターホンの取付け・交換、防犯フィルムの取付け、面格子などの防犯設備の取付け、人感センサー・人感センサー付きライトの取付け、防犯錠・補助錠の取付け・交換、サムターンカバー・ロックカバーの取付け・交換、防犯砂利の設置、センサーアラームの取付け、ダミーカメラの取付け、迷惑電話防止機能付き電話機の取付け、そしてその他市長が認める防犯設備が対象になります。一方で、長期保証やリース契約、断熱防犯窓は対象外とされています。カメラや錠といった目に見える対策だけでなく、電話機や砂利のような「足音や話し声で気付かれる対策」まで幅広く網羅しているのが、この補助金の対象品目の特徴といえます。玄関や窓といった侵入口そのものを固める対策と、敷地に近づいた段階で気付く・気付かせる対策の両方に、同じ枠から補助が出る設計になっています。

迷惑電話防止機能付き電話機が対象に含まれているのも見落とせない点です。住まいの防犯というと玄関や窓まわりの設備を思い浮かべがちですが、特殊詐欺などの電話を使った犯罪への備えも同じ補助金でまかなえるようになっています。侵入を物理的に防ぐ対策と、電話口でのやり取りから家族を守る対策の両方を、一つの制度でカバーしている点は、申請を検討する際に候補を広げておきたいポイントです。


なぜ今、八王子市がこの補助金を用意したのか

八王子市はこの補助金の目的を「全国で相次いで発生している広域強盗事件を受けた防犯意識の高まりを踏まえ」たものと説明しています。背景には、住宅を狙った侵入犯罪が全国的に増加しているという実態があります。

警察庁の調べによると、2025年1月から7月までの7か月間に認知された住宅対象の侵入窃盗は全国で1万450件に上り、前年同期比で1,000件以上増加しました。なかでも空き家を狙った侵入窃盗の増加は顕著で、2025年の認知件数は全国で約1万2,000件に迫り、統計を取り始めた2020年の3,180件からおよそ3.8倍に増えています。東京都に限ってみても、2025年の件数は251件で、2020年の59件から4倍超に増加しました。わずか5年ほどの間に、空き家を狙った侵入窃盗が全国的にも都内でも大きく増えていることが、この数字からうかがえます。

さらに、空き家だけでなく人が住んでいる住宅への被害も拡大しています。2024年8月以降、関東の1都3県では似た手口による戸建てを狙った押し込み強盗事件が10件を超えて発生しており、在宅中であっても侵入される被害が目立つようになってきました。防犯対策はもはや「留守中の空き家」だけの問題ではなく、人が暮らしている家にとっても現実的なリスクになっています。空き家であれば長期の留守を狙われ、住んでいる家であれば在宅時間帯の手薄さを突かれる、というように、犯行側の手口が住宅の状況に合わせて広がっているとも読み取れます。

こうした全国的な動きを踏まえて、八王子市も緊急の補助制度を設けた、という流れになります。「緊急」という言葉が制度名に入っているのは、こうした侵入犯罪の増加ペースに対応するための時限的・集中的な支援という位置づけを示したものといえます。日々の暮らしの中では、空き巣や強盗のニュースを見ても「自分の家は関係ない」と感じがちですが、警察庁の統計が示す増加傾向は、特定の地域や特定の家だけの問題ではなく、全国の住宅地に共通するリスクであることを物語っています。住み慣れた地域だから大丈夫、という感覚だけに頼らず、具体的な設備投資で備えておく意味は小さくありません。


誰が、いつまでに、どう申請すればいいのか

補助の対象になるのは、八王子市に住民登録がある人で、令和8年(2026年)4月1日から令和9年(2027年)2月1日までの間に、市内の販売店等で防犯対策品を購入・設置した世帯です。補助を受けられるのは1世帯につき1回限りで、暴力団員や国・地方公共団体は対象から除かれます。すでに防犯カメラなどを導入済みの世帯でも、この期間内の購入・設置であれば対象になる点は見落とされやすいポイントです。

申請の受付期間は、購入・設置期間よりやや遅れて始まる令和8年4月20日から令和9年2月1日までとなっています。申請方法は3通り用意されており、市役所本庁舎1階の「暮らしの安全課」窓口に平日8時30分から17時の間に直接持参する方法、〒192-8501 八王子市元本郷町3-24-1 暮らしの安全課宛てに郵送する方法、そしてオンライン申請フォーム「LoGoフォーム」を使う方法のいずれかを選べます。平日に窓口へ行く時間が取りづらい世帯にとっては、郵送やオンラインという選択肢があることも申請のハードルを下げてくれます。

申請にあたって必要な書類は、交付申請書(オンライン申請の場合は不要)、購入日・金額・販売店名が記載された領収書の写し、工事や購入の内容が分かる書類、本人確認書類の写し、補助金を受け取る口座情報の写しなどです。領収書は「いつ・いくらで・どの店で」買ったかが分かる形で保管しておく必要があるため、防犯対策品を購入する際は、申請を見据えて領収書を必ず取っておくことが実務上のポイントになります。工事を業者に依頼する場合は、見積書や工事完了後の明細書も合わせて保管しておくと、申請時に慌てずに済みます。

申請先が複数用意されているのは、市役所まで足を運べる世帯ばかりではないことを踏まえた設計といえます。平日の日中に窓口へ行くのが難しい共働き世帯や高齢の単身世帯にとっては、郵送やオンラインのLoGoフォームで完結できる点が実質的な申請のしやすさにつながります。特にオンライン申請は交付申請書の提出自体が不要になるため、領収書や本人確認書類など必要なデータをスマートフォンで撮影して用意できれば、窓口に出向かずに手続きを終えられます。


予算の残りと、申請前に知っておきたい「狙われやすい家」の特徴

この補助金の総予算は8,500万円ですが、令和8年10月1日時点での残額は5,200万円にとどまっています。制度が本格的に動き出してから半年ほどで、全体の4割近い約3,300万円が既に活用された計算になります。申請期限である令和9年2月1日までまだ時間はあるものの、予算には限りがあるため、防犯対策品の導入を検討しているなら早めに動いたほうがよいといえます。

補助金を使って何を優先的に導入すべきか迷う場合は、どんな住宅が実際に狙われやすいのかを知っておくと判断の助けになります。空き家を狙った侵入窃盗事件で摘発された容疑者らの供述によると、狙われやすい住宅には共通する特徴があるとされています。「庭の手入れがされていない」「隣家が離れていて、物音や異変に気付かれにくい」「車が止まっておらず、人の気配が感じられない」「物が乱雑に置かれている」といった住宅が標的に選ばれやすい、という点です。

逆に言えば、カメラやセンサーライトで「見られている」ことを示し、庭や外構を整えて「人の気配」を感じさせることが、侵入をあきらめさせる現実的な抑止策になります。この補助金の対象品目には、まさにそうした「見られている」「気付かれる」を実現するための設備が並んでいます。防犯カメラやセンサーライトのような電気を使う対策だけでなく、防犯砂利のように歩けば音が出る対策まで対象になっているのは、こうした「気付かれる家にする」という発想と重なります。人が住んでいる家であっても、庭が荒れていたり、郵便物が溜まっていたり、長期間車の出入りがなかったりすると、留守がちな家と見分けがつきにくくなります。補助金の対象品目を一つずつ検討する際は、カメラのような「録る対策」と、ライトや砂利のような「気付かれる対策」を組み合わせて考えると、限られた2万円の使い道をより効果的に絞り込めます。


まとめ

住まいの防犯対策緊急補助金は、防犯カメラからサムターンカバーまで12品目を対象に、購入・設置費用の2分の1、上限2万円を補助する八王子市の制度です。全国的に住宅を狙った侵入窃盗が増えるなかで用意された制度であり、申請期限は令和9年2月1日、予算は既に4割近くが使われています。防犯対策を検討しているなら、領収書を保管しておくことと、早めに申請することの2点を心に留めておきたいところです。


参考文献

八王子市ホームページ「令和8年度八王子市住まいの防犯対策緊急補助金について」 / 東京新聞「空き家を狙った窃盗被害が全国で急増中 2025年は1万2000件 標的にされないための対策は」 / 日本経済新聞「戸建て『在宅中の侵入』急増 防犯対策に大音量アラームなど有効」

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カヅキ

カヅキ

桑都手帖 編集者

ものづくりや意匠設計を学んだ経験をもとに、八王子の風土・歴史・伝統工芸を現代につなぐ記事を書いています。暮らしの手続きについても、調べたことをそのまま書き留めています。