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仕舞手帖 · 公開: 2026.09.14 · 7分で読めます

遺品整理業者の費用相場はいくら? 間取り別の目安とトラブルを避ける選び方

遺品整理を業者に依頼するといくらかかるのか、間取り別の費用目安と情報源による相場の幅を整理し、見積もりトラブルを避けるための許可・資格の確認ポイントをまとめます(2026年時点)。

みずみずしい緑の桑の葉

実家の遺品整理を業者に頼もうとして、まず戸惑うのが「結局いくらかかるのか分からない」という点ではないでしょうか。

サイトによって提示されている金額に大きな差があり、相場感がつかみにくいのが実情です。

結論から言うと、遺品整理の費用は間取りだけでなく荷物の量や立地、オプション内容で大きく変わるため、単一の「正解の金額」はありません。

インターネットで検索すると「〇万円〜」という表示が業者ごとに並び、どれを信じればよいのか分からなくなるという声もよく聞かれます。安さだけを基準に選ぶと、必要な作業が省かれていたり、後から追加料金を請求されたりするリスクもあります。

大切なのは、間取り別のおおよその目安を頭に入れたうえで、複数社から見積もりを取り、見積書の内訳と業者の許可・実績を確認することです。

本記事では、公表されている費用目安と国民生活センターが報告したトラブル事例、業者を見分けるための確認ポイントを順に整理します。実家じまいの一環として遺品整理を検討している人が、依頼前に押さえておきたい情報をまとめました。

遺品整理の費用相場は間取りでどう変わるか

遺品整理の費用は、部屋数や広さ(間取り)に応じて段階的に高くなるのが一般的です。

税理士・行政書士が監修する遺品整理情報サイトが2026年に公開した目安では、1R・1Kで3万円〜8万円、1LDKで7万円〜20万円、3LDKで17万円〜50万円、4LDK以上で22万円〜60万円とされています。

一方で、日本郵便の「終活日和」コラムに寄稿している遺品整理事業者の目安では、同じ1R/1Kでも10万円〜15万円程度、2LDK以上や一戸建てでは50万円〜100万円以上とされており、先の目安よりかなり高い水準です。

このように情報源によって提示額に開きがあるのは、荷物の総量、搬出の階数やエレベーターの有無、供養や特殊清掃といったオプションの有無で作業内容が大きく変わるためです。

同じ「3LDK」でも、長年暮らした実家のように家財が多く詰まった部屋と、生前整理が進んで荷物が少ない部屋とでは、搬出にかかる人員と時間がまったく異なります。作業員の人数や作業日数が増えるほど人件費がかさむため、間取りが同じでも金額に幅が出るのは自然なことです。

また、遺品整理の料金には「作業費」「処分費」「出張費」に加えて「オプション費用」が別途かかる場合があります。仏壇や神棚の閉眼供養(魂抜き)、貴金属や骨董品の査定・買取、害虫駆除や特殊清掃といった作業は基本料金に含まれないことが多く、必要な作業を事前に伝えておかないと、当日になって想定外の追加料金につながりかねません。

そのため、間取り別の目安はあくまで「大まかなレンジ」として捉え、実際の金額は自宅の状況を伝えたうえでの見積もりで確認する必要があります。見積もりを依頼する段階で、荷物の量や必要なオプションをできるだけ具体的に伝えておくことが、後述するトラブルを避けることにもつながります。

見積もりでよくあるトラブルと防ぎ方

遺品整理サービスをめぐっては、契約や料金に関するトラブルが一定数報告されています。

国民生活センターが2018年7月19日に発表した資料によると、遺品整理サービスに関する相談件数は2013年度の73件から2017年度の105件まで、増加傾向で推移していました。

具体的な事例としては、見積もり時に契約を急かされて申し込んだものの、作業開始前に解約を申し出たら高額なキャンセル料を請求されたケースが挙げられています。

また、作業当日になって予定外の追加料金が発生し、当初の見積額の2倍を請求されたケースや、「処分しないでほしい」と伝えていた遺品を無断で処分されたケースも報告されています。

こうしたトラブルの多くは、契約前の確認不足が原因になっています。急な訃報や相続の手続きと重なる時期は気持ちに余裕がなく、業者側から日程を急かされるとその場で契約してしまいがちですが、いったん持ち帰って比較検討する時間を確保することが大切です。

見積もり内容と作業範囲を書面で明確にし、口頭でのやり取りだけで進めないことが、トラブルを避ける第一歩です。特に「一式いくら」という大まかな見積もりだけを提示する業者は、当日の追加料金トラブルにつながりやすいため注意が必要です。

良い業者を見分ける基準 — 許可と資格の確認ポイント

遺品整理で処分する家財やごみは、法律上「一般廃棄物」に分類されます。

環境省の通知では、一般廃棄物の収集・運搬・処分は市町村の固有の事務であり、市町村の許可を受けた業者が市町村の監督のもとで行うことが原則とされています。同じ通知では、業の許可制度・委託の禁止・名義貸しの禁止といった規定を通じて、市町村の監督が行き届く形で処理が行われることが重視されています。

許可を持たない業者や、許可業者を装って回収だけを請け負う仲介者が関与すると、不用品が不法投棄されるなどのリスクが生じ、依頼した側にも影響が及びかねません。市町村の規制が及ばない第三者が排出者と処理業者の間であっせん・仲介を行うこと自体も、責任の所在があいまいになる要因として環境省の通知で懸念が示されています。

「遺品整理」を掲げる業者のなかには、自社では一般廃棄物収集運搬業の許可を持たず、許可を持つ他社に回収部分だけを委託しているところもあります。この形自体は違法ではありませんが、委託先が実際に許可を持っているかどうかまで確認しておくと、より安心できます。

見積もりの際に「一般廃棄物収集運搬業の許可番号を教えてほしい」と尋ねてみるのも一つの方法です。誠実な業者であれば許可証の提示や番号の案内に応じてくれますが、曖昧な返答しかない場合は、他社の許可業者に処分部分を委託しているのか、そもそも許可のない状態で回収しているのかを、契約前に確認しておく必要があります。

許可の有無は自治体のホームページで確認できる場合があります。

たとえば八王子市の公式サイトでは、市が許可した一般廃棄物収集運搬業者などの名簿をエクセル形式で公開しており(2026年8月3日更新)、依頼前に照会することができます。

お住まいの自治体で同様の名簿が公開されていないか、依頼前に確認しておくと安心です。

もう一つの目安として「遺品整理士」という民間資格があります。

一般財団法人遺品整理士認定協会が2011年11月から認定講座を運営しており、2024年6月時点で会員数が6万人を超えています。

ただし、遺品整理士は国が定める国家資格ではなく、あくまで業界団体が実施する民間の認定資格です。認定試験では、廃棄物処理に関する法令知識や遺品の適切な取り扱いについての理解が問われるとされており、遺品を単なる不用品としてではなく丁寧に扱う姿勢を確認する目的で設けられています。

資格の有無だけで業者の質を判断するのではなく、許可の確認とあわせて一つの参考情報として見るのが実務的な使い方です。会社案内やホームページに「遺品整理士在籍」と記載されていても、それだけで一般廃棄物収集運搬業の許可を持っていることの証明にはならない点は分けて考える必要があります。

見積書のチェックポイントと相見積もりの取り方

見積もりを依頼する際は、まず電話やメールで訪問見積もりを申し込むのが一般的な流れです。

訪問見積もり自体は15分から30分程度で終わることが多く、最終的な金額は口頭ではなく書面(見積書)で提示してもらいます。電話だけで金額を確定させる業者や、現地を見ないまま「おおよそこのくらい」と即答する業者は、当日の追加料金トラブルにつながりやすいため注意が必要です。

国民生活センターは、遺品整理サービスを利用する際の対策として、複数社から見積もりを取ること、見積書の内訳(作業費・処分費・出張費・オプション費用など)を確認すること、追加料金やキャンセル料が発生する条件をあらかじめ確認することを挙げています。相見積もりを取る際は、各社に同じ荷物量・同じオプション内容を伝えることで、金額の比較がしやすくなります。

あわせて、残したい遺品と処分してよいものを事前に仕分けし、業者に明確に伝えておくことも、誤って処分されるトラブルを防ぐうえで有効です。仕分けの時間が取れない場合でも、少なくとも「絶対に残したいもの」だけは事前にリストアップし、作業当日に業者へ直接手渡しておくと確実です。

見積書に作業担当者名や連絡先の記載があるか、追加料金の発生条件が明記されているかも、あわせて確認しておきたいポイントです。見積書の内容に不明な点がある場合は、契約前に質問して書面に反映してもらい、曖昧なまま作業日を迎えないようにすることが大切です。

まとめ

遺品整理の費用相場は情報源によって数万円から100万円超まで幅があり、実際の金額は荷物の量や立地、オプションの有無によって大きく変わります。

そのため、間取り別の目安を参考にしつつ、必ず複数社から見積もりを取り、内訳を比較することが欠かせません。

業者を選ぶ際は、一般廃棄物収集運搬業許可の有無を自治体の名簿などで確認し、遺品整理士のような民間資格はあくまで参考情報の一つとして扱うのが実務的な考え方です。相場・許可・資格のいずれか一つだけを基準にするのではなく、組み合わせて確認することで、契約後の後悔を減らしやすくなります。

見積書の内容と追加料金の条件を事前に確認し、残したい遺品を明確に伝えておくことで、トラブルを避けながら遺品整理を進めやすくなります。実家の遺品整理は、相続の手続きや空き家の今後の活用方針とも関わってくる作業です。時間に余裕を持って複数社に相談し、納得できる業者と進め方を選んでいくことをおすすめします。

参考文献

遺品整理のトリセツ「遺品整理費用の相場を徹底解説」 / 日本郵便「終活日和」 / 日本郵便「遺品整理の費用相場はいくら?」 / 国民生活センター「こんなはずじゃなかった!遺品整理サービスでの契約トラブル」 / 環境省「一般廃棄物の適正な処理の確保について」 / 八王子市「廃棄物処理業許可業者の選び方(一覧)」 / 一般財団法人遺品整理士認定協会 公式サイト / ラクエコ「遺品整理で見積もりを取る際の注意点」

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カヅキ

カヅキ

桑都手帖 編集者

ものづくりや意匠設計を学んだ経験をもとに、八王子の風土・歴史・伝統工芸を現代につなぐ記事を書いています。暮らしの手続きについても、調べたことをそのまま書き留めています。