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仕舞手帖 · 公開: 2026.10.05 · 8分で読めます

空き家の防犯対策は何からする? 侵入窃盗の実態と費用別の対策方法

実家を空き家にしたときの不法侵入・空き巣のリスクと、国の基準で「狙われやすい空き家」がどう判断されるかを整理し、面格子やセンサーライトといった自分でできる対策から警備会社の見守りサービスの料金相場、八王子市・東京都の相談窓口までをまとめます。

竹竿に干された藍染の布

実家を空き家にしたとき、多くの人がまず気にするのは「泥棒に入られないか」という防犯の問題です。結論から言うと、空き家を狙った窃盗は統計上はっきり増えており、対策を後回しにするほどリスクは積み重なります。幸い、面格子やセンサーライトのように数万円で始められる対策から、月数千円で見回りを頼める警備会社のサービスまで、予算に応じた選択肢があります。本記事では、空き家が狙われる理由と最新の統計、国が「狙われやすい空き家」をどう判断しているか、自分でできる対策と費用相場、警備会社のサービス料金、そして八王子市・東京都の相談窓口までを順番に整理します。

空き家が狙われている理由と、侵入窃盗の実態

実家を離れて誰も住まなくなった家は、人の出入りがなくなることで「留守の家」であることが外からも分かりやすくなります。これは防犯上、非侵入窃盗や侵入窃盗の標的になりやすい状態です。

警察庁の「犯罪情勢」(令和8年2月発行)を引用した業界紙の報道によると、2025年(令和7年)に空き家を対象とした窃盗(侵入窃盗と非侵入窃盗を合わせたもの)は13,971件で、2020年比では307.9%増となっています。2020年以降、5年連続で前年の件数を上回っているとされ、空き家が窃盗のターゲットとして増加傾向にあることがうかがえます。

侵入の手口についても、ALSOKが警察庁の統計を引用して解説している内容によると、2024年の侵入窃盗全体の認知件数は43,036件で、ピークだった2002年の338,294件から見るとおよそ8分の1まで減少しています。それでも住宅を対象にしたものは全体の41.6%(16,962件)を占め、手口別では「空き巣」が6割以上を占めています。侵入方法では「無締り(鍵をかけていない状態からの侵入)」が47.8%、「ガラス破り」が30.1%で、施錠の徹底と窓の防犯性を高めることが対策の基本になることが分かります。

実家を空き家にする場合、誰も住んでいないからこそ施錠確認や窓の点検が後回しになりがちですが、統計が示す傾向を踏まえると、こうした基本的な対策こそが最初に手をつけるべき部分だと言えます。

「狙われやすい空き家」は国の基準でも問題視される

空き家の防犯性の低さは、単に窃盗被害のリスクというだけでなく、行政が空き家を問題視する基準そのものにも関わっています。

国土交通省の「『特定空家等に対する措置』に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)」別紙4(3)では、「門扉が施錠されていない、窓ガラスが割れている等不特定の者が容易に侵入できる状態で放置されている」ことが、特定空家等(放置すると危険だと行政が認定する空き家)の判断基準の一つとして明記されています。つまり、防犯性が低い状態を放置すると、単なる防犯上の不安にとどまらず、行政上の「問題のある空き家」として扱われる可能性が出てくるということです。

特定空家等として市町村長から「勧告」を受けると、地方税法第349条の3の2第1項等の規定により、その敷地は固定資産税等の住宅用地特例(減額措置)の対象から除外されます。特例が外れると税負担が増える可能性があるため、防犯性の低下を放置することは、治安面だけでなく経済的な面でも不利益につながりかねません。どの程度の負担増になるかは個別の土地の条件によって変わるため、具体的な見込みは固定資産税を管轄する自治体の窓口や税理士に確認することをお勧めします。

今日からできる防犯対策と費用相場

大掛かりな工事をしなくても、窓や門扉の防犯性を上げるだけで侵入のハードルは大きく変わります。ここでは比較的手軽に導入できる対策と、2026年時点の費用相場を紹介します。

面格子(窓の外側に取り付ける鉄製・アルミ製の格子)を後付けする場合、小窓(70cm×70cmまで)であれば本体・工賃・既存部材の撤去処分費込みで合計20,800〜31,500円程度、腰高窓(120cm×150cmまで)であれば合計31,500〜41,500円程度が相場とされています。窓からの侵入を物理的に防ぐ手段として、比較的導入しやすい対策です。

防犯センサーライト(人の動きを検知して自動点灯するライト)は、本体のみを既存の電源に設置する場合で合計1万〜3万円程度、コンセントの新設などの電源増設を伴う場合は合計2万8,000〜4万8,000円程度が目安です。夜間、敷地に近づいた人を照らすことで、下見や侵入を躱躅させる効果が期待できます。

これらの対策がなぜ有効かという点で参考になるのが、ALSOKが警察庁発表のデータをもとに解説している内容です。侵入に5分以上かかると、侵入窃盗犯の約7割(「2分以内」で諦める17.1%と「2分超5分以内」で諦める51.4%の合計)が侵入を断念するとされています。面格子やセンサーライトは、侵入までの時間を引き延ばし、犯行を諦めさせる時間稼ぎの役割を果たす対策だと理解しておくとよいでしょう。

プロに任せる選択肢:見守り・警備サービスの料金

実家が遠方にあり、定期的に見に行けない場合は、警備会社の見守り・管理サービスを利用する方法もあります。

ALSOKの「HOME ALSOK るすたくサービス」は、基本プラン(初期費用0円・月1回の見回りと投函物の整頓)が月額7,700円から利用できます。ホームセキュリティと駆けつけ対応を組み合わせたセキュリティパックは月額11,000円、通水・換気・目視確認まで含めた最上位プランでは月額18,700円までのプランが用意されており、依頼したい管理の範囲に応じて選べる設計になっています。

セコムの空き家管理サポート(通気・通水・ポストの回収など)は1回9,500円(税込10,450円)から利用できます。ホームセキュリティと組み合わせたプランは買取方式で月額4,900円(税込5,390円)から、レンタル方式では月額7,700円(税込8,470円、初期費用として工事料63,600円と保証金2万円)からとなっていますが、対象地域は首都圏・近畿圏・愛知県の一部に限定されているため、実家のある地域が対象に含まれるかどうかは申込前に確認が必要です。

いずれのサービスも、月1回程度の見回りで郵便物の整理や外観の確認を行う内容が中心です。自分で定期的に訪問できない場合は、こうしたサービスを使うことで、留守であることが外から分かりにくい状態を保ちやすくなります。

八王子市・東京都の空き家相談窓口と補助制度

防犯対策と並行して、空き家そのものの今後の方針に悩んでいる場合は、自治体の相談窓口を利用する方法もあります。

八王子市の空き家相談窓口は「まちなみ整備部住宅支援課」(電話042-620-7260)です。また、「八王子市未耐震空き家除却支援補助金」という制度があり、昭和56年5月31日以前に建築され耐震性が不足する相続空き家について、除却費用の3分の2以内を補助しています。補助上限額は相続発生からの年数によって変わり、3年以内であれば上限100万円、5年以内であれば上限50万円、10年以内であれば上限25万円です。制度の受付期間は年度によって変動するため、利用を検討する場合は事前に窓口へ確認することをお勧めします。

東京都は「東京都空き家ワンストップ相談窓口」(0120-776-735、平日9時〜18時受付)を設置しており、相続・売却・賃貸・管理・住み替えなどの相談に無料で応じ、必要に応じて専門家や専門事業者の紹介まで行っています。なお、東京都・八王子市のいずれも、防犯対策に特化した補助金や相談窓口は確認できませんでした。除却や利活用、管理相談の枠組みの中で防犯についても相談できる可能性はあるため、具体的な悩みがある場合はまず上記の窓口に相談してみるとよいでしょう。

また、取り壊す以外の選択肢として「八王子市空き家利活用促進整備補助金」もあります。地域活性化施設として空き家を活用する場合に改修工事費の3分の2以内を補助する制度で、全体改修であれば上限100万円(10年以上の利用が条件)、スタートアップ整備であれば上限25万円(3年以上の利用が条件)となっています。空き家を人の手に渡す、あるいは活用して人の出入りを生むことも、結果的に防犯上望ましい状態につながる選択肢の一つだと言えます。

まとめ:空き家の防犯は「早めの対策」が治安悪化も資産価値の低下も防ぐ

空き家を対象とした窃盗は統計上増加傾向にあり、施錠の不備や窓の弱さが主な侵入経路になっています。国土交通省のガイドラインでも、施錠されていない門扉や割れた窓ガラスは特定空家等の判断基準の一つとされており、防犯性の低下は治安面だけでなく行政上の扱いにも関わってきます。

国土交通省の改正空家法施行状況調査(令和5年9月27日発表)によると、平成27年度から令和4年度末までに特定空家等への措置(助言・指導37,421件、勧告3,078件、命令382件、行政代執行180件、略式代執行415件)が累計41,476件講じられ、市区町村の取組を合わせると168,198件の管理不全空き家で除却・修繕等が進んだとされています。国土交通省も「壊れた窓などから不法侵入者に出入りされると、周辺地域の治安の悪化に繋がります」と明記しており、空き家の防犯対策は個々の家の問題であると同時に、周辺地域全体の治安にも関わる課題だと位置づけられています。

面格子やセンサーライトのような数万円でできる対策から、警備会社の見守りサービス、自治体の補助制度まで、選択肢の幅は広くあります。実家を空き家にする予定がある、あるいは既に空き家になっている場合は、できるところから防犯対策に着手しておくことをお勧めします。

参考文献

国土交通省「『特定空家等に対する措置』に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)」 / 国土交通省「空き家対策 特設サイト」 / 国土交通省 報道発表資料「改正空家法 施行に向けた空き家対策の現在地」 / ALSOK「HOME ALSOK研究所 最新の統計データから読み解く、侵入窃盗の傾向と防犯対策」 / ALSOK公式「HOME ALSOK るすたくサービス」 / セコム公式「空き家の防犯・監視サービス」 / 八王子市公式「空き家を相続した・する予定のある方へ」 / 八王子市公式「八王子市未耐震空き家除却支援補助金」 / 東京都住宅政策本部「東京都空き家ワンストップ相談窓口」 / ミツモア「面格子の取り付け費用!後付けすると工事費込みでいくらかかる?」 / ミツモア「防犯用センサーライトの取り付け方法・費用相場!」

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カヅキ

カヅキ

桑都手帖 編集者

ものづくりや意匠設計を学んだ経験をもとに、八王子の風土・歴史・伝統工芸を現代につなぐ記事を書いています。暮らしの手続きについても、調べたことをそのまま書き留めています。