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仕舞手帖 · 公開: 2026.10.11 · 8分で読めます

実家の名義変更、結局いくらかかる? 相続登記の費用を3つに分けて整理

実家(不動産)の名義変更=相続登記にかかる費用を、登録免許税・必要書類の取得費用・司法書士報酬の3つに分けて、2026年時点の公的情報と業界団体の報酬アンケートから整理します。

木々に囲まれた公園の砂利の小径

実家の名義変更、つまり相続登記にかかる費用は、大きく3つに分解できます。不動産の評価額にかかる「登録免許税」、戸籍謄本や証明書を集める「書類の取得費用」、そして司法書士に依頼する場合の「報酬」です。自分で手続きすれば数万円規模、司法書士に依頼すれば十数万円規模というのが、公的情報と業界団体のアンケートから見えてくる目安です。

この記事では、この3つの費用をそれぞれ公的資料にもとづいて整理し、自分で申請する場合と司法書士に依頼する場合で総額イメージがどう変わるかをまとめます。「名義変更にいくら準備しておけばよいのか分からない」という段階の人が、最初の見通しを立てるための材料として読んでください。

3つの費用のうち、登録免許税と書類の取得費用は、自分で申請しても司法書士に依頼しても同じようにかかります。差が出るのは司法書士報酬の部分だけです。先にこの構造を理解しておくと、見積もりを受け取ったときに「何にいくらかかっているのか」を分けて確認しやすくなります。

実家の「名義変更」=相続登記とは?まず知っておきたい期限

実家の名義変更と呼ばれている手続きは、法律上は「相続登記」といいます。不動産の所有者が亡くなった後、登記簿上の名義を相続人に変更する手続きです。令和6年(2024年)4月1日に施行された制度により、この相続登記の申請は法律上の義務になりました。

義務の内容は、相続人が、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請することです。施行日より前に発生していた相続についても対象になり、この場合は令和9年(2027年)3月31日までに登記する必要があります。正当な理由なく義務を怠ると、10万円以下の過料の対象になり得ます。

費用の話に進む前にこの期限を押さえておくのは、「いつまでに準備すればよいか」が分かっていないと、費用の見積もり自体がしにくいためです。期限に余裕がある場合でも、次に見る3つの費用のうちどれが発生するかは、自分で手続きするか司法書士に依頼するかによって変わります。

費用の内訳①:登録免許税はいくらかかるか

相続登記を申請する際には、登録免許税という税金がかかります。原則として、不動産の固定資産税評価額の0.4%が税率です。たとえば固定資産税評価額が1,000万円の実家であれば、登録免許税の目安は0.4%にあたる4万円になります。これは誰が申請しても、自分で手続きしても司法書士に依頼しても、同じようにかかる費用です。

通常の売買による所有権移転登記の税率(原則2.0%)と比べると、相続登記の税率は低く設定されています。実際の税額は評価額の端数処理等によって変わるため、ここで示した4万円はあくまで概算の目安としてご参照ください。

なお、期限内に正式な登記が難しい場合に利用できる「相続人申告登記」という簡易な制度もあります。これは登記官に対し、自らが相続人であることを戸籍の証明書等とともに申し出ることで義務を履行する仕組みで、この手続きには登録免許税がかかりません。ただし不動産の権利関係そのものを公示するものではないため、実家を売却する際には別途正式な相続登記が必要になります。

また、実家が複数の土地に分かれている、あるいは離れた場所に小さな土地が別にあるといったケースでは、免税措置が使える場合があります。法務局の案内によれば、不動産の価額が100万円以下の土地については、所有権移転登記にかかる登録免許税が免除される措置が設けられており、適用期間は令和9年(2027年)3月31日までです。この免税措置は土地ごとに判定されるため、実家の建物や評価額の高い土地には適用されず、価額の低い土地だけに適用される場合があります。申請書に根拠となる租税特別措置法の条項を記載しないと免税を受けられないため、該当しそうな土地がある場合は司法書士や法務局の窓口で確認するのが確実です。

費用の内訳②:戸籍謄本・固定資産評価証明書などの取得費用

相続登記の申請には、被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本や除籍謄本、相続人の戸籍謄本、固定資産評価証明書といった書類が必要です。これらは市区町村の窓口で取得し、1通ごとに手数料がかかります。

八王子市の場合、戸籍謄本(戸籍全部・個人事項証明)の窓口交付手数料は1通450円、除籍謄本・改製原戸籍謄本(除籍全部・個人事項証明)は1通750円です。固定資産評価証明書(土地・家屋)は、令和8年(2026年)7月1日の手数料条例改定後、窓口・オンライン申請で1通300円、郵送申請で1通400円となっています。

これらを数通ずつ集める場合、合計額は数千円程度になるのが一般的な目安です。ただし、被相続人の出生から死亡までの戸籍をすべて集める必要があるため、本籍地を何度か移していると複数の市区町村への請求が必要になり、通数や取得先が増えるほど合計額や手間も増えていきます。本籍地の変遷が多い場合は、取得費用も時間も余裕を見ておくとよいでしょう。

ここで示した手数料は八王子市の例ですが、本籍地が八王子市以外にある場合は、その市区町村が定める手数料が適用されます。自治体によって金額が異なる場合があるため、実家以外の本籍地がある場合は、その市区町村の窓口やホームページで手数料を確認しておくと、見積もりのずれを防げます。また、相続人全員の戸籍謄本も必要になるため、相続人の人数が多いほど取得する通数も増える点も、あわせて踏まえておきたいところです。

費用の内訳③:司法書士に依頼した場合の報酬はいくらか

自分で申請する代わりに司法書士に依頼する場合は、上記の登録免許税・書類取得費用に加えて、司法書士への報酬が発生します。この報酬額は司法書士ごとに異なりますが、業界団体のアンケートから相場のイメージをつかむことができます。

日本司法書士会連合会が2024年(令和6年)3月に実施した司法書士報酬アンケートによれば、「土地1筆・建物1棟、固定資産評価額合計1,000万円、法定相続人3名のうち1名が単独相続する」という設例での相続登記の全国平均報酬は74,888円とされています。この報酬には、戸籍謄本等の交付請求、遺産分割協議書の作成、相続関係説明図の作成、登記申請の代理といった業務が含まれる想定で算定されています。

実際の報酬額は、不動産の数・評価額・相続人の数・戸籍収集の範囲などによって変わるため、依頼前に見積もりを取って確認することをおすすめします。多くの司法書士事務所では、依頼前の相談や見積もりの提示を無料で受け付けているため、複数の事務所に声をかけて内容と金額を比べてから決めても問題ありません。

見積もりを比較する際は、登録免許税や書類取得費用も含めた「総額」で提示されているか、司法書士報酬の部分だけが示されているかを確認すると、事務所同士の金額を正しく比較できます。報酬の内訳に戸籍収集や遺産分割協議書の作成が含まれているかどうかも、依頼する業務範囲によって確認しておきたい点です。

自分で申請する場合と司法書士に依頼する場合、総額イメージの違い

ここまでの3つの費用を総額で見てみます。自分で手続きする場合は、原則として「登録免許税(評価額の0.4%)+書類の取得費用(数千円程度)」にとどまり、司法書士報酬は発生しません。評価額1,000万円の実家であれば、総額は4万円台〜5万円程度が目安になります。

司法書士に依頼する場合は、これに報酬(アンケート平均74,888円)が加わるため、同じ条件であれば総額は十数万円規模になるイメージです。自分で申請する手間と時間を考慮したうえで、どちらを選ぶかを判断することになります。不動産の評価額が高いほど登録免許税も増えるため、総額に占める司法書士報酬の比重は、評価額によって変わってくる点も押さえておくとよいでしょう。

戸籍の収集や書類作成に時間をかけられる場合は自分で申請する選択肢もありますが、相続人が多い、本籍地の変遷が多い、遺産分割協議書の作成に不安があるといった事情があれば、司法書士に依頼するほうが結果的にスムーズに進むこともあります。

この判断は、金額だけでなく時間の使い方も含めて考える必要があります。平日に法務局や役所の窓口へ何度も足を運べるか、仕事や介護と並行して戸籍を集める時間が取れるかによって、同じ条件でも「自分でやる」が合理的な人と「依頼する」が合理的な人は分かれます。どちらが自分の状況に合うかは、次に見る相談窓口で確認するのが確実です。

まとめ

実家の名義変更(相続登記)にかかる費用は、登録免許税(評価額の0.4%)、必要書類の取得費用(数千円程度)、そして司法書士に依頼する場合の報酬(アンケート平均74,888円)の3つに分解できます。自分で申請するか司法書士に依頼するかで、総額のイメージは大きく変わります。

個別の税額や報酬額は、不動産の評価額や相続人の数、戸籍収集の範囲によって変わるため、この記事の内容はあくまで目安としてご参照ください。具体的な見積もりや申請の進め方は、東京法務局八王子支局(〒192-0046 八王子市明神町4-21-2、電話042-631-1377)や司法書士に相談することをおすすめします。固定資産税に関する証明書の問い合わせ先は、八王子市財務部資産税課(042-620-7251)です。登記そのものの相談先と税証明の窓口が分かれている点も、あわせて覚えておくと確認の手間を減らせます。

期限内の申請が難しい事情がある場合は、放置するのではなく、まず「相続人申告登記」で義務だけを先に履行しておくという選択肢も検討してください。費用の見通しさえ立てば、名義変更は決して手の届かない手続きではありません。

参考文献

法務省「相続登記の申請義務化について」 / 法務省「相続人申告登記について」 / 日本司法書士会連合会「司法書士の報酬」(2024年3月実施報酬アンケート結果) / 八王子市公式ホームページ「戸籍全部・個人事項証明(戸籍謄抄本)等の請求(窓口請求)」 / 八王子市公式ホームページ「固定資産評価証明書(土地・家屋)」 / 八王子市公式ホームページ「相続登記について」 / 東京法務局「八王子支局」

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カヅキ

カヅキ

桑都手帖 編集者

ものづくりや意匠設計を学んだ経験をもとに、八王子の風土・歴史・伝統工芸を現代につなぐ記事を書いています。暮らしの手続きについても、調べたことをそのまま書き留めています。