多摩地域で遺言書を作成したい。どこに相談すればいい?
八王子・立川・町田・府中・多摩市など多摩地域で遺言書を作る場合の選び方と相談先を、自筆証書遺言書保管制度と公正証書遺言の費用、公証役場一覧、無料相談窓口まで2026年時点の公的情報で整理します。

この記事の目次
「実家のことで揉めないように、親に遺言書を書いておいてほしい」。そう考えたとき、まず迷うのが「どこに相談すればいいのか」です。結論から言うと、遺言書の作り方には大きく2つの方法があり、多摩地域ではそれぞれに対応する窓口が揃っています。自分で書いて法務局に預ける「自筆証書遺言書保管制度」と、公証人に作成してもらう「公正証書遺言」です。
どちらを選ぶかは、費用をどこまで抑えたいか、紛失や内容の不備をどこまで避けたいかのバランスで決まります。この記事では、2つの制度の費用と手続き、多摩地域の公証役場の一覧、無料で相談できる窓口、そして司法書士・行政書士・弁護士のどこに相談すべきかを順番に整理します。なお、個別の家庭にとってどちらが向いているか、相続税にどう影響するかは資産状況によって変わるため、この記事では制度の説明と相場観にとどめます。
遺言書には2つの作り方があり、まず選ぶところから始まる
遺言書を法的に有効な形で残す方法は、大きく「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2つに分かれます。自筆証書遺言は遺言者本人が手書きで作成するもので、以前は自宅での保管や紛失・改ざんのリスクが指摘されていました。この課題に対応する形で、2020年7月に法務局が遺言書を保管する「自筆証書遺言書保管制度」が始まりました。
この制度を使うと、自分で書いた遺言書を法務局(遺言書保管所)に預けることができます。保管の申請手数料は3,900円(2026年時点)で、公正証書遺言に比べると費用を抑えられるのが特徴です。一方、公正証書遺言は公証人が遺言者から内容を聞き取って作成するため、書き方の不備による無効のリスクが低く、原本は公証役場で保管されます。費用は財産額に応じて変わりますが、一般に自筆証書遺言より高額になります。
どちらを選ぶべきかは一律には決まりません。費用を抑えたい、まずは形を整えたいという場合は自筆証書遺言書保管制度、内容の正確さや証明力を重視する場合は公正証書遺言が選ばれる傾向にあります。次の章から、それぞれの費用と多摩地域での相談先を具体的に見ていきます。
自筆証書遺言書保管制度:費用と多摩地域の管轄
自筆証書遺言書保管制度の手数料は、法務省が公開している一覧によると次のとおりです(2026年時点)。
- 遺言書の保管申請:3,900円
- 遺言書の閲覧請求(モニター):1,400円
- 遺言書の閲覧請求(原本):1,700円
- 遺言書情報証明書の交付請求:1,400円
- 遺言書保管事実証明書の交付請求:800円
なお、保管の申請を撤回したり、届け出た内容を変更したりする場合には手数料はかかりません。
申請先は、遺言者の住所地・本籍地・所有する不動産の所在地のいずれかを管轄する遺言書保管所(法務局)です。東京法務局の管内では、本局のほか板橋出張所・八王子支局・府中支局・西多摩支局が遺言書保管所として指定されています。多摩地域に住んでいる場合は、八王子支局・府中支局・西多摩支局のいずれかが申請先になることが多く、どの支局が管轄になるかは法務省の管轄一覧で事前に確認しておくと手続きがスムーズです。申請は予約制のため、法務局への事前連絡も忘れないようにしましょう。
なお、自筆証書遺言書保管制度に預けられるのは、法律で定められた様式を満たした遺言書に限られます。民法第968条では、遺言者が全文・作成日付・氏名を自書し、押印することが必須とされています。日付は「令和8年3月吉日」のような曖昧な記載では認められず、具体的な年月日を特定して書く必要があります。
2019年1月の改正により、財産目録については自書でなくパソコンで作成したり、不動産の登記事項証明書や通帳のコピーなどの資料を添付する方法も認められるようになりました。その場合は目録の全ページに署名と押印が必要です(2026年時点、法務省)。これらの様式を満たしていない遺言書は保管の申請自体ができないため、事前に様式を確認しておくことが欠かせません。
この制度を利用する大きな利点として、法務局が保管申請の時点で様式面を確認するため、方式不備による無効を避けやすくなることに加え、遺言者の死後に家庭裁判所で行う「検認」の手続きが不要になる点が挙げられます。通常の自筆証書遺言は、相続人が家庭裁判所に遺言書を提出して検認を受ける必要がありますが、法務局に保管されている遺言書についてはこの検認が不要です。遺言書の原本は遺言者死亡後50年間、画像データは150年間、法務局で保管されます(2026年時点、法務省)。
公正証書遺言:費用の目安と加算の仕組み
公正証書遺言の手数料は、公証人手数料令という政令によって財産の価額に応じて定められています。日本公証人連合会の説明によると、基本手数料は例えば財産価額が50万円以下で3,000円、500万円超1,000万円以下で20,000円というように段階的に上がっていきます。
ここに加えて、いくつかの加算項目があります。遺言書を作成する場合は「遺言加算」として、財産総額が1億円以下であれば基本手数料に1万3,000円が加算されます(1億円を超える場合は加算なし)。また、病院のベッドなど病床で作成する場合は、作成手数料に50%が加算されます。公証人が病院・自宅・老人ホームなどへ出張する場合は、日当として1日2万円(4時間以内であれば1万円)と、現地までの交通費が別途必要になります。
このように公正証書遺言は自筆証書遺言書保管制度より手数料の構成が複雑で、総額も高くなりやすい一方、公証人という第三者が内容を確認しながら作成するため、形式面の不備による無効リスクは下がります。実際にいくらになるかは財産の内容や出張の有無によって大きく変わるため、具体的な見積もりは最寄りの公証役場に相談して確認する必要があります。
多摩地域の公証役場一覧
公正証書遺言を作成する場合、まず相談する先は公証役場です。法務省(東京法務局)が公開している一覧によると、多摩地域には次の6つの公証役場があります(2026年時点)。
| 役場名 | 所在地 | 電話番号 |
|---|---|---|
| 武蔵野公証役場 | 武蔵野市吉祥寺本町2-5-11 松栄ビル4階 | 0422-22-6606 |
| 立川公証役場 | 立川市柴崎町3-9-21 エルフレア立川ビル2階 | 042-524-1279 |
| 八王子公証役場 | 八王子市東町7-6 エバーズ第12八王子ビル2階 | 0426-31-4246 |
| 町田公証役場 | 町田市中町1-5-3 | 042-722-4695 |
| 府中公証役場 | 府中市宮町2-15-13 第15三ツ木ビル3階 | 042-369-6951 |
| 多摩公証役場 | 多摩市落合1-7-12 ライティングビル1階 | 042-338-8605 |
公証役場はどこの役場でも利用できるため、必ずしも住所地の最寄りを選ぶ必要はありません。ただし出張を依頼する場合は、出張先からの距離が旅費・日当に影響するため、できるだけ近い役場に相談するのが実務的です。事前に電話で予約し、必要書類(本人確認書類、財産関係の資料など)を確認してから訪問する流れが一般的です。
公正証書遺言の作成には、証人2名以上の立ち会いが法律上必要です。証人は遺言者が自分で用意することもできますが、適当な人が見つからない場合は公証役場で紹介してもらうこともできます。ただし、未成年者、推定相続人や遺贈を受ける人、その配偶者や直系血族などは証人になれません(2026年時点、日本公証人連合会)。これは、遺言の内容によって利益を得る立場の人を証人から外し、遺言者の真意が正しく反映されるようにするための決まりです。
無料で相談できる窓口:三多摩総合相談センター
費用をかけずにまず相談したいという場合は、東京司法書士会が運営する「三多摩総合相談センター」(立川市曙町2-34-13)が選択肢になります。相続・不動産登記に関する相談を無料で受け付けており、相談日時は毎週水曜日の午後5時から7時40分、毎週土曜日の午後1時から3時40分です(2026年時点)。
1人あたりの相談時間は40分以内で、同一人の利用は年間3回までに制限されています。予約は電話(042-548-3933、受付は月曜〜金曜の午前10時から午後4時、祝日を除く)で受け付けています。遺言書そのものの作成代行はできませんが、「自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらが自分の家庭に向いているか」といった入口の相談には向いています。
どの専門家に相談すべきか
遺言書の作成を専門家に依頼する場合、行政書士・司法書士・弁護士のいずれかが候補になりますが、それぞれ対応できる範囲が異なります。
行政書士は、遺言書作成のサポートや遺産分割協議書の作成、相続人・財産の調査などを担うことができます。ただし不動産の登記申請や、交渉・訴訟の代理権は持っていません。司法書士は行政書士の業務範囲に加えて、不動産の相続登記(所有権移転登記)ができるため、実家のような不動産を含む遺言を考えている場合は、司法書士に相談することで登記までを一貫して任せやすくなります。弁護士はさらに、相続人同士で意見がまとまらず家庭裁判所での調停・審判に進むような場面での代理人対応ができます。
実家を含む遺言を検討している家庭の多くは、不動産の登記が関わるため司法書士への相談が実務上の起点になりやすいと言えます。ただし、親族間で既に意見の対立がある場合や、争いに発展する可能性がある場合は、早い段階で弁護士に相談しておくほうが安全です。どの専門家が合うか判断に迷う場合は、まず前章の無料相談窓口で事情を話し、必要な専門家につないでもらう進め方もあります。
まとめ
多摩地域で遺言書を作成する場合、費用を抑えて自分で書きたいなら自筆証書遺言書保管制度(保管申請3,900円〜)、内容の確実性を重視するなら公正証書遺言(財産額に応じた手数料+遺言加算1万3,000円など)という2つの選択肢があります。多摩地域には武蔵野・立川・八王子・町田・府中・多摩の6つの公証役場があり、無料で相談したい場合は三多摩総合相談センターが利用できます。
不動産である実家が遺言の対象に含まれる場合は、登記まで一貫して相談できる司法書士が実務上の起点になりやすく、親族間での意見の対立が見込まれる場合は早めに弁護士への相談も検討するとよいでしょう。どの方法が自分の家庭に合うかは資産状況や家族構成によって変わるため、この記事で紹介した窓口へ実際に相談し、個別の事情に合わせて判断することをおすすめします。
参考文献
法務省「自筆証書遺言書保管制度の手数料一覧・遺言書保管所一覧・遺言書保管所管轄一覧」 / 法務省「遺言書の様式等についての注意事項」 / 法務省民事局「自筆証書遺言書保管制度のご案内」 / 日本公証人連合会「Q7.公正証書遺言の作成手数料は、どれくらいですか?」 / 日本公証人連合会「Q5.公正証書遺言の証人は、どのように手配するのですか?」 / 法務省「公証役場一覧:東京法務局」 / 東京司法書士会「三多摩総合相談センター(立川)」 / STUDYing「行政書士が担当できる相続手続き業務。司法書士とはここが違う!」
実家じまいで迷ったら
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