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仕舞手帖 · 公開: 2026.10.03 · 7分で読めます

墓じまいの費用相場はいくら? 内訳と改葬許可の手続きを整理

墓じまいにかかる費用を「墓石撤去」「離檀料」「改葬先(新しい供養先)」の3つに分けて相場を整理し、改葬許可申請の役所手続きの流れと八王子市の窓口情報もあわせて解説します(2026年時点)。

流水文様と市松模様をデジタルのドットで再構成した文様

「実家の近くのお墓を、誰も継げなくなりそうだ」。そう感じて墓じまいを検討し始めたとき、多くの人が最初につまずくのが「結局いくらかかるのか分からない」という点です。

結論から言うと、墓じまいの費用は「墓石の撤去費用」「寺院・霊園に関わる離檀料」「新しい供養先(改葬先)の費用」の3つに分けて考えると見通しが立てやすくなります。墓石撤去は面積に応じた工事費、離檀料は法的な支払い義務がなく金額の基準も存在しない費用、改葬先費用は選ぶ供養の形によって数万円から百万円超まで幅があるためです。

この記事では、この3つの費用の相場と、改葬にあたって必ず必要になる役所の手続き(改葬許可申請)の流れ、八王子市での具体的な窓口情報までを、公的資料と複数の業界情報をもとに整理します(2026年時点の情報です)。

墓じまいの費用、全体でいくらかかるのか

墓じまいの総費用は、大きく分けて「墓石の撤去・原状回復費用」「離檀料など寺院・霊園とのやり取りにかかる費用」「改葬先(新しい供養の形)の費用」の3つで構成されます。このうちどれか一つでも見積もりを取らずに話を進めてしまうと、想定外の出費につながりやすい領域です。

墓じまいを検討する人自体も、全国的に増加しています。厚生労働省の「衛生行政報告例」によると、改葬件数は2015年度の91,567件から2024年度には176,105件まで増加しており、9年間で約1.9倍に拡大しました。少子化や遠方居住によって「お墓を継ぐ人がいない」という状況が広がっていることの表れだといえます。

費用の内訳を知らないまま石材店や寺院と交渉を始めると、提示された金額が妥当かどうか判断できません。次の章からは、手続きの流れと費用項目を順番に見ていきます。

墓じまいを検討するタイミングは人によってさまざまです。実家から離れた場所に住んでいてお墓参りの往復が負担になってきた、兄弟姉妹の中に継承者となる人がいない、あるいは自分の代でお墓を終わらせて子どもに負担を残したくないといった事情が重なり、検討が始まることが多いといえます。いずれの場合も、感情面の整理と並行して費用の見通しを立てておくことが、後々の後悔を減らすことにつながります。

改葬許可申請の手続きと八王子市の窓口

墓じまいをするには、単に墓石を撤去するだけでなく、遺骨を他の場所に移す「改葬」の許可を役所から得る必要があります。墓地、埋葬等に関する法律第五条では、改葬を行おうとする者は、遺骨が現にある場所の市町村長の許可を受けなければならないと定められています。

一般的な手続きの流れは、まず改葬先(新しい墓地や納骨堂など)を決めて「受入証明書」を受け取り、次に現在の墓地の管理者から埋蔵(埋葬)証明を受け、その証明が記入された「改葬許可申請書」を現在の墓地が所在する市区町村に提出するという順序になります。申請書の様式は、現在の墓地が所在する市区町村役場の窓口で受け取るか、ホームページからダウンロードして入手します。

八王子市の場合、改葬許可申請書の提出先は市民部市民課戸籍担当(本庁舎1階4番窓口)のみで、支所や他の事務所では取り扱っていません。受付時間は平日の午前8時30分から午後5時までで、土曜・日曜・祝日は手続きできず、月曜日は窓口が混雑しやすいとされています。申請の手数料は無料です。

来庁が難しい場合は郵送での申請も可能です。110円切手を貼付した返信用封筒を同封し、市民課戸籍担当宛てに申請書類一式を送付します。墓地管理者による埋蔵・収蔵証明欄への記入・押印を事前に済ませておく必要がある点は、来庁・郵送のいずれの場合も変わりません。

墓石の撤去費用はどのくらいかかるのか

改葬許可を得たあとに発生するのが、既存の墓石を撤去して墓所を更地に戻す工事の費用です。石材店・墓じまい関連事業者の複数サイトの情報によると、撤去工事の費用相場は1平方メートルあたり8万円から15万円程度とされています。

墓所の面積ごとの総額目安としては、一般的な広さとされる3〜4平米で約36万円から48万円、5〜6平米のやや大きめの区画では約60万円から72万円程度が目安です。墓所の面積が分かれば、この単価をもとにおおまかな総額を見積もることができます。

ただし、この金額はあくまで標準的な条件での目安です。重機が墓地の中まで入れない狭い通路や傾斜のきつい立地では、すべて手作業での撤去になり、費用が相場よりも高くなる傾向があります。墓石のほかに外柵や灯籠など付帯する工作物が多い場合も、撤去範囲が広がり金額が上がります。

石材店によって工事費の設定にはばらつきがあり、同じ墓所でも見積額に差が出ることがあります。複数の石材店から見積もりを取り、工事内容の内訳(撤去範囲・廃材処分費・出張費など)を比較してから依頼先を決めることが、費用面での失敗を避ける基本的な対策になります。

離檀料のトラブルを避けるために知っておきたいこと

墓じまいの費用の中でも、特にトラブルになりやすいのが寺院に納める「離檀料」です。国民生活センターの相談事例ページによると、墓・葬儀サービスに関する相談は増加傾向にあり、2025年度には1,077件の相談が報告されています。

具体的な事例としては、遠方の寺院から永代供養墓へ遺骨を移送する際に高額な離檀料を請求され手続きが円滑に進まなかったケースや、長年お世話になった菩提寺での墓じまいにあたり「支払える金額ではない上、規約の定めもなく請求根拠が不明」な高額の離檀料を請求されたケースが紹介されています。

ここで押さえておきたいのは、離檀料には法律上の支払い義務がなく、金額の明確な基準も存在しないという点です。寺院との関係を良好に終えるための慣習的な謝礼という性格が強く、相場として断定できる金額があるわけではありません。請求根拠が不透明なまま高額な金額を提示された場合は、その場で支払いを約束せず、いったん持ち帰って家族と相談することが勧められています。

トラブルが自分たちだけでは解決できないと感じた場合は、消費者ホットライン(188)を通じて最寄りの消費生活センターに相談する、あるいは弁護士に相談するという選択肢があります。離檀料は感情的な行き違いが生じやすい費用項目だからこそ、事前に「法的な支払い義務はない」という前提を知っておくこと自体が、交渉の土台になります。

離檀の話を切り出す際は、金額の交渉だけでなく、長年の付き合いに対する感謝を伝えるタイミングとしても捉えると、寺院側との関係がこじれにくくなるといわれています。金額面で納得がいかない場合でも、感情的に対立するのではなく、まずは「何に対する費用なのか」を具体的に尋ねることが、落ち着いた話し合いの第一歩になります。

改葬先(新しい供養の形)ごとの費用相場

墓石を撤去したあと、取り出した遺骨をどこに納めるかによって、改葬先の費用は大きく変わります。近年選ばれることが増えている樹木葬は、埋葬する人数や埋葬方法(個別区画か合祀か等)によって幅があり、目安はおよそ5万円から100万円程度です。

屋内施設である納骨堂は、種類によって費用の差がさらに大きくなります。目安としては、棚式が3万円から10万円、位牌式が5万円から15万円、ロッカー式が50万円から100万円、仏壇式が100万円から200万円、参拝時に遺骨が自動で運ばれてくる自動搬送式が50万円から120万円程度とされています。収容人数や立地、設備の充実度によって同じ「納骨堂」でも金額帯が変わる点に注意が必要です。

永代供養墓全般でみると、費用の目安はおよそ10万円から150万円程度です。合祀(他の遺骨とまとめて埋葬する形式)であれば比較的低額に収まりやすく、個別の区画や一定期間の個別安置を経てから合祀する形式になるほど費用は上がる傾向があります。

これらの金額はいずれも公的な統計ではなく、複数の葬祭・供養関連事業者の情報に共通する目安のレンジです。実際に申し込む際は、個別区画の有無、管理費の要不要、法要の実施回数といった条件によって総額が変わるため、候補先から具体的な見積もりを取って比較することが欠かせません。

遺骨をお墓や納骨堂に納めず、海に撒く「海洋散骨」を選ぶ人もいます。費用はプランによって差があり、業者にすべてを任せ遺族が乗船しない「委託散骨(代行)」であれば5万円から10万円程度、複数の家族が同じ船に乗り合わせる「合同散骨」で10万円から20万円程度、1家族だけで船をチャーターする「個別散骨(貸切)」では15万円から30万円程度が目安です。

いずれのプランも、遺骨の粉末化・献花・献酒・散骨実施証明書の発行が基本料金に含まれていることが多いものの、何が基本料金に含まれ何が追加費用になるかは業者によって異なります。申し込み前に見積もりの内訳を確認しておくと、当日になって想定外の追加費用を請求される事態を避けやすくなります。

まとめ:費用の内訳を知ってから動き出す

墓じまいの総費用は、「墓石撤去費用(1平米あたり8万〜15万円が目安)」「離檀料(法的な支払い義務や相場の基準はない)」「改葬先費用(樹木葬・納骨堂・永代供養で3万〜200万円程度と幅が大きい)」の3つの合計で決まります。この3つを分けて考えるだけで、見積もりや請求額が妥当かどうかを判断しやすくなります。

改葬許可申請そのものは、どの市区町村でも必要な行政手続きであり、申請手数料自体は無料です(八王子市の例)。費用がかかるのは石材店や寺院・霊園とのやり取りの部分であることを整理しておくと、交渉の見通しが立てやすくなります。離檀料のように金額の基準がない費用について納得できない請求を受けた場合は、その場で判断せず、家族や消費生活センターに相談する余地を残しておくことが大切です。

参考文献

厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律」 / 厚生労働省「衛生行政報告例」 / 八王子市「改葬(お墓を移す)に関する手続き」 / 国民生活センター「墓・葬儀サービス」相談事例 / 石材店・墓じまい関連事業者サイトの費用相場情報 / 永代供養・樹木葬関連事業者サイトの費用相場情報

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カヅキ

カヅキ

桑都手帖 編集者

ものづくりや意匠設計を学んだ経験をもとに、八王子の風土・歴史・伝統工芸を現代につなぐ記事を書いています。暮らしの手続きについても、調べたことをそのまま書き留めています。