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工芸とデジタル · 公開: 2026.10.12 · 8分で読めます

健康保険証はもう使えない —— 八王子市の資格確認書と「10割負担」を防ぐ方法

紙の健康保険証は2025年12月で新規発行が終わり、2026年7月末には猶予措置も終了した。八王子市の国民健康保険で誰にどの書類が届き、何を携帯すれば医療費の10割負担を避けられるかを整理する。

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紙の健康保険証は2025年12月1日に新規発行が終わり、既存のカードも原則としてその後最初の更新時点で使えなくなりました。さらに2026年7月31日には、制度移行の混乱を避けるための猶予措置も終了しています。今、医療機関の窓口で提示できるのはマイナ保険証か資格確認書のどちらかだけで、どちらも持たずに受診すると医療費を一時的に全額、つまり10割を自己負担することになります。八王子市の国民健康保険でどんな書類が誰に届き、届かない・期限が切れた場合にどこへ行けばいいかを整理します。


結論 —— マイナ保険証か資格確認書、どちらかを常に携帯する

マイナンバーカードを健康保険証として利用する「マイナ保険証」への一本化が、国の基本方針です。ただし、マイナ保険証を持てない人・持ちたくない人を置き去りにしないよう、従来の保険証に代わる「資格確認書」が無償で交付される仕組みが用意されています。

マイナ保険証の利用登録をしている人には、保険資格や負担割合を記載した「資格情報のお知らせ」も別途届きます。ここが混同されやすい点で、資格情報のお知らせは単体では受診時の提示書類として使えません。受診時に窓口へ出せるのは、マイナ保険証そのものか、資格確認書のいずれかに限られます。

つまり、財布の中に入れておくべきものは人によって違います。マイナ保険証の利用登録をしているならマイナンバーカード本体を、登録していない・できない事情があるなら資格確認書を、常に携帯しておくことが受診時のトラブルを避ける一番の近道です。

マイナ保険証の利用登録そのものがまだの人は、方法が三つ用意されています。マイナポータルからのオンライン申請、医療機関・薬局の窓口での申請、そしてセブン銀行ATMからの申請です。いずれもマイナンバーカードと、交付時に設定した4桁の暗証番号があれば手続きできます。


なぜ「10割負担」が起きるのか —— 2026年7月末で終わった猶予措置

健康保険証が原則廃止された後も、現場の混乱を避けるための経過的な仕組みがありました。期限切れの保険証を持参した場合でも、医療機関側の資格確認システムで本人確認ができれば、通常の負担割合のまま受診できる暫定措置です。この措置は2026年7月31日で終了しました。

2026年8月1日以降は、医療機関の窓口で提示できる書類がマイナ保険証または資格確認書のいずれかに厳密に限定されています。どちらも提示できない場合、その場では医療費の全額、つまり10割を一時的に自己負担しなければなりません。10割負担が生じやすいのは、資格確認書の有効期限が切れていた場合や、転職・退職の直後で保険資格が切り替わる端境期、そしてマイナ保険証・資格確認書のいずれも持参し忘れた場合です。

もっとも、10割負担をしたら払い損というわけではありません。後日、加入している医療保険者に療養費の支給申請を行えば、自己負担分を超えて支払った分の還付を受けられます。ただし申請書の準備や審査には時間がかかるため、窓口でまとめて負担割合どおりに支払えるに越したことはありません。

このルールは全国一律で運用されているため、里帰りや出張先の医療機関でも事情は変わりません。普段通っている病院では顔なじみの受付で融通が利いた、というケースがあったとしても、初めて訪れる医療機関では資格確認システムでの提示が前提になります。持病があって複数の医療機関にかかっている人ほど、マイナ保険証か資格確認書のどちらかを常に携帯する意識が欠かせません。

転職や退職の直後に10割負担が生じやすいのも、仕組みを知っておけば心構えができる部分です。健康保険の資格は加入する保険者ごとに管理されているため、勤め先が変わるタイミングでは、旧保険者の資格確認書や資格情報のお知らせがそのままでは使えなくなり、新しい保険者から交付される書類に切り替わるまでに一時的な空白期間が生じることがあります。この時期に受診する予定がある人は、手続きの進み具合を事前に確認しておくと安心です。


八王子市の資格確認書・資格情報のお知らせ —— 誰に何が届くか

八王子市の国民健康保険でも、国の制度に沿った発送の仕組みが運用されています。マイナ保険証を持たない加入者には、「資格確認書」と呼ばれるサーモン色の用紙が、簡易書留で自宅に発送されます。簡易書留を選んでいるのは、受診時の提示書類として使う重要な書類だからです。

一方、マイナ保険証の利用登録をしている加入者には、負担割合などを記載した「資格情報のお知らせ」が普通郵便で発送されます。繰り返しになりますが、この資格情報のお知らせだけでは窓口での提示書類にはなりません。マイナ保険証本体を携帯して初めて、受診時の確認が完了します。

八王子市はこの更新作業を例年10月1日付で行っており、対象者への発送は9月上旬に行う運用になっています。発送の対象年齢区分や具体的な日程は年度ごとに見直される場合があるため、手元に届く時期は八王子市公式サイトの最新のお知らせで確認するのが確実です。

マイナ保険証の利用登録を市役所の窓口で行いたい場合は、本庁舎1階の専用窓口が平日午前8時30分から午後5時(最終受付は午後4時45分)まで対応しています。土日祝日は利用できないため、平日に時間を作る必要があります。なお、マイナンバーカードや電子証明書の有効期限が切れている、暗証番号を忘れてロックされている、ICチップが損傷しているといった場合は、この窓口では登録手続きができず、住民票のある市区町村の窓口への相談が必要になります。


マイナ保険証の利用率と、見落としやすい「もう一つの期限」

マイナ保険証への移行がどれだけ進んでいるかは、厚生労働省のレセプトベースの集計で公表されています。全国保険医団体連合会がまとめた数値によれば、2026年2月時点の利用率は49.89%、2026年5月時点では68.52%まで上昇しましたが、2026年8月時点では50.4%と、時点や集計方法によって数値に大きな幅があります。85歳以上の高齢者層では利用率が約24%にとどまるなど、年齢層や地域による差も指摘されています。

残る課題として指摘されているのは、高齢者層の利用率の低さだけではありません。地域間でも最大20ポイントを超える差があるとされ、医療機関側のシステム対応やスマートフォン操作への不慣れが、現場での利用を妨げる要因として挙げられています。数字の上では普及が進んでいるように見えても、実際に窓口で使われる場面にはまだばらつきがあるのが実情です。

マイナ保険証を使う上で見落としやすいのが、カード本体とは別に存在する「電子証明書」の期限です。マイナ保険証として利用する際に参照されるのは、ICチップに搭載された「利用者証明用電子証明書」で、年齢を問わず発行から5回目の誕生日までの5年間しか有効ではありません。カード本体の有効期限は10年(未成年は5年)ですが、電子証明書はそれより短い独自の時計で動いています。

カードの見た目が変わらないため、電子証明書だけが期限切れになっていることには気づきにくいものです。期限切れ後も一定期間、目安として3か月程度はマイナ保険証として利用できる運用がありますが、その間に更新手続きを済ませておかなければ、猶予が切れた時点で突然使えなくなります。カード本体の有効期限だけでなく、電子証明書の更新時期も別途意識しておく必要があります。


書類が届かない・期限切れの場合の八王子市の窓口対応

資格確認書や資格情報のお知らせが予定の時期を過ぎても届かない場合、自分で取りに行くことができます。顔写真付きの本人確認書類、マイナンバーカード・運転免許証・パスポートなどのいずれかを持参すれば、市役所1階の保険年金課(13番窓口)、または各市民部事務所(斎場事務所を除く)で再交付を受けられます。

後期高齢者医療制度に加入している85歳以上の人については、やや異なる運用がとられています。マイナ保険証の利用登録状況にかかわらず、継続して資格確認書が交付される仕組みになっており、84歳以下の人がマイナ保険証の利用実績に応じて資格情報のお知らせに切り替わっていくのとは対照的です。八王子市は後期高齢者医療制度についても、マイナンバーカードの保険証利用に関する専用ページを公式サイトに設け、問い合わせ先を案内しています。

資格確認書と資格情報のお知らせは見た目も役割も異なる書類です。どちらが届いているかを自分の目で確認し、受診時に必要なのはどちらなのかを把握しておけば、窓口で慌てずに済みます。家族の分までまとめて管理している世帯では、同居する家族それぞれにどちらの書類が届いているかを一度確認しておくと、いざというときに迷わずに済みます。

資格確認書はサーモン色という目立つ色で作られているため、他の郵便物に紛れて見落とす心配は比較的少ないといえます。ただし普通郵便で届く資格情報のお知らせは、他のお知らせと一緒に重なってしまいやすい書類です。受診の予定がある家族がいる世帯では、更新時期にあたる9月から10月にかけて、届いた郵便物を一度まとめて確認しておくことをおすすめします。


まとめ

紙の健康保険証が使えなくなり、マイナ保険証と資格確認書という二つの選択肢に整理されたことで、制度自体はシンプルになりました。一方で、資格情報のお知らせとの混同や、電子証明書という別軸の期限など、気づきにくい落とし穴も残っています。

とくに一人暮らしの高齢者や、普段あまり病院にかからない人ほど、書類が届いていること自体に気づかないまま時間が過ぎてしまいがちです。次に病院の窓口に立つ前に、自分の財布の中にマイナ保険証か資格確認書のどちらかが入っているか、一度確かめてみてください。その一手間が、10割負担という思わぬ出費を避ける一番確実な方法です。


参考文献

イオン銀行「2026年3月で健康保険証廃止!マイナ保険証への切替え・登録方法、資格確認書とは?」 / 大和総研「期限切れの健康保険証、2026年8月からは使えない」 / finexus「【2026年8月から】健康保険証があっても10割負担?知っておきたい原因と対処法」 / ダイヤモンド・ライフ「【猶予は2026年7月末まで】期限切れ保険証が終了」 / 全国保険医団体連合会「マイナ保険証利用件数の割合 8月は50.4%」 / 八王子市ホームページ「国民健康保険資格確認書・資格情報のお知らせの更新について」「国民健康保険の資格について」 / 八王子市ホームページ「マイナンバーカードの保険証利用について(後期高齢者医療制度)」

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カヅキ

カヅキ

桑都手帖 編集者

ものづくりや意匠設計を学んだ経験をもとに、八王子の風土・歴史・伝統工芸を現代につなぐ記事を書いています。暮らしの手続きについても、調べたことをそのまま書き留めています。