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仕舞手帖 · 公開: 2026.09.08 · 更新: 2026.09.14 · 8分で読めます

実家(空き家)の買取相場はいくら? 仲介との価格差と業者選びのポイント

空き家の「買取」価格が仲介による売却よりどの程度安くなるのか、その理由と、買取・仲介の選び方、八王子市の相続空き家支援制度を2026年時点の公的情報で整理します。

織物の経糸と緯糸が交差する和モダンな幾何学文様

実家をたたむ過程で不動産会社に「買取」を相談したら、想定していたより低い金額を提示されて戸惑った、という声は少なくありません。結論から先に言うと、買取価格は仲介で売却した場合の相場の6〜7割程度になるのが一般的です。理由は単純で、買取業者は取得後にリフォームや解体を行って再販する前提で価格を決めているためです。

この記事では、買取価格が仲介より安くなる仕組みと、それでも買取を選ぶ価値がある場面、八王子市で使える相続空き家の支援制度までを、公的資料と大手不動産会社の公開情報にもとづいて整理します。個別の税額や補助金の適用可否は事情によって変わるため、判断が必要な箇所は相談先も具体的に案内します。実家じまいは「とりあえず一社に相談して言われるまま進める」と、後から他の選択肢を知って悔やむことにもなりかねないテーマです。仕組みを理解したうえで、複数の選択肢を比較する材料にしてください。

空き家の買取相場は仲介の6〜7割が目安

不動産の売却情報を扱うSUUMO(リクルート運営)は、不動産の買取価格の目安を「仲介で売却した場合の相場の約7割」としています。仮に仲介なら2,000万円で売れそうな家であれば、買取では1,300〜1,400万円程度が一つの目安になる、という計算です。あくまで一般的な水準であり、実際の金額は物件ごとに幅があります。

「買取」は不動産会社が物件を直接買い取る取引、「仲介」は不動産会社が買主を探して仲立ちする取引です。同じ「不動産会社に依頼する」という点は共通していても、価格が決まる仕組みそのものが違うため、両者を単純に比べると差に驚くことになります。どちらの方法にも一長一短があり、どちらか一方が常に正解というわけではありません。

古い実家や長期間放置された空き家では、建物の傷み具合や残置物の量によって、この差がさらに開くこともあります。逆に立地が良く再販しやすい物件では、7割よりも高い水準で買取が成立することもあります。目安として捉えたうえで、実際の金額は複数社の査定で確認するのが確実です。

なお「買取」と一口に言っても、不動産会社が自社で再販する通常の買取と、投資家や別の事業者へ転売する目的の買取など、業者によって取引の形が異なる場合があります。査定額だけでなく、決済までのスケジュールや残置物・家財の処分を含めてくれるかどうかも、あわせて確認しておくと比較がしやすくなります。

なぜ買取は仲介より安くなるのか

買取業者の多くは、物件を取得したあとにリフォームや解体・造成を行い、あらためて市場で売り出して利益を得るビジネスモデルをとっています。工事費用や、再販するまでの保有期間中にかかる固定資産税・金利といったコストは、あらかじめ買取価格から差し引かれます。さらに、買主として物件のリスクを引き受ける立場になるため、そのリスク分を見込んだ価格設定になりやすい点も、仲介より安くなる理由です。

立地や築年数によっては、そもそも再販の見込みが立たないという理由で、買取業者から取り扱いを断られることもあります。駅から遠い、接道条件が悪い、老朽化が著しいといった物件は、買取業者にとって再販の難易度が上がるため、査定額が下がったり、対応可能な業者が限られたりする傾向があります。

同じ家でも依頼する業者によって査定額が変わるのは、この「再販できるかどうか」の見立てが業者ごとに異なるためです。1社だけの査定で判断せず、複数の業者に見積もりを依頼して比較することが、納得できる価格で手放すための基本になります。

業者を選ぶ際は、査定額の高さだけでなく、宅地建物取引業の免許番号を確認できるか、査定の根拠を具体的に説明してくれるか、契約前に重要事項の説明を丁寧に行ってくれるかも見ておきたいポイントです。急な即決を強く迫る業者や、他社との比較を避けたがる業者には注意し、契約書の内容は署名前に確認する習慣をつけると、トラブルを避けやすくなります。

買取と仲介、どちらを選ぶべきか

買取と仲介は、価格だけでなく手間やスケジュールの面でも性質が異なります。主な違いを整理すると次のとおりです。

比較項目 買取 仲介
売却価格の傾向 仲介の6〜7割程度が目安 市場価格に近い水準を狙える
現金化までの期間 早ければ1週間、遅くとも1か月程度 数か月〜半年程度かかることが多い
仲介手数料 かからない 売却価格の3〜5%程度が目安
内覧対応 不要なことが多い 複数回の対応が必要になりやすい
契約不適合責任 免責されるケースが一般的 売主が負うのが原則

急いで現金化したい、内覧対応の手間を省きたい、近隣に知られずに手放したい、契約後のトラブルを避けたいという場合は、買取のメリットが大きくなります。一方で、時間に余裕があり、できるだけ高い価格で売りたい場合は仲介が選択肢になります。両者を「価格」か「速さ・手軽さ」かの二択として捉えると、自分たちの事情に合わせた判断がしやすくなります。

実家じまいでは、相続税の申告・納税期限(相続の開始を知った日の翌日から10か月以内)や、空き家を放置することで生じる管理コストなど、動くべき時期の制約が絡むことも少なくありません。「いつまでに」「いくらで」手放したいのかを先に整理したうえで、買取・仲介の両方から見積もりを取り、条件を比較して決めることをおすすめします。

なお、建物を解体してから売りに出すか、古家付きのまま買取や仲介に出すかによっても、税負担の見え方が変わることがあります。住宅が建っている土地には固定資産税の住宅用地特例が適用され課税標準が軽減されますが、更地にするとこの特例が外れ、土地の固定資産税だけが上がるケースがあります。古家付きのまま買取に出せば、この負担を気にせず手放せる点もあわせて検討材料になります。

八王子市で使える相続空き家の支援制度(2026年時点)

相続した実家を売却・解体する場合、八王子市が案内している支援制度を確認しておくと選択肢が広がります。一つは、昭和56年5月31日以前に建築された家屋を相続し、相続開始から3年以内に売却、かつ令和9年12月31日までに譲渡を完了した場合に、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる国の税制特例です。もう一つは、この特例の対象外となる木造一戸建てのうち、耐震診断で耐震性なしと判定されたものについて、相続発生から10年以内に取り壊すことを条件に解体費用の一部を補助する「未耐震空き家除却支援補助金」です。

このほかにも、所有者と利用希望者を市がマッチングし、家財整理や改修費の一部を補助する仕組みが用意されています。ただし、いずれの制度も建築時期・相続からの経過年数・耐震診断の結果といった細かな条件があり、実際に適用できるかどうかは個々の事情によって変わります。控除額や補助の可否を正確に知りたい場合は、税理士や市の窓口へ直接確認するのが確実です。

八王子市は「住まいの活用相談所(住まカツ)」という相談窓口を設けており、AIシミュレーションツール「すまいの終活ナビ」を使うと、解体費用や売却相場の目安を試算できます。売却・解体だけでなく、賃貸や活用の相談にも対応しているため、「まだ手放すかどうか決めていない」という段階でも利用しやすい窓口です。制度の詳細や最新の受付状況は、年度によって内容が変わることがあるため、申請前に八王子市住宅支援課(042-620-7260)へ問い合わせて最新情報を確認することをおすすめします。

売却前に確認すべきことと専門家への相談先

総務省統計局の令和5年(2023年)住宅・土地統計調査では、全国の空き家数は約900万戸、総住宅数に占める空き家率は13.8%で、いずれも過去最高を更新しました。国土交通省と総務省の推計では、このうち「その他の住宅」に区分される空き家は令和7年(2025年)時点で約4.2百万戸にのぼり、令和12年(2030年)には約4.7百万戸まで増加すると見込まれています。空き家全体が増える局面では、買い手・借り手を見つけにくくなる物件も増えていくため、動くなら早いほうが選択肢を残しやすいという見方もできます。

地価の面でも地域差は大きく、令和8年地価公示(令和8年1月1日時点)によると、八王子市内の住宅地平均価格は1平方メートルあたり13万1,300円(対前年比+3.9%)で、多摩地区平均の24万8,200円/平方メートルより低い水準にあります。同じ市内でも、京王八王子駅周辺は1平方メートルあたり48万2,057円まで上がる一方、高尾山口駅周辺は6万300円にとどまるなど、駅からの距離によって価格帯が大きく異なります。実家がどのくらいの価格になるかは、こうした公示地価を参考にしつつも、最終的には現地を見た不動産会社の査定で確認する必要があります。公示地価はあくまで標準的な地点の指標であり、個々の土地の形状や接道条件までは反映されていない点にも注意してください。

買取か仲介か、いつ動くかを決めるためには、まず複数の不動産会社に査定を依頼して価格の相場観をつかむことが出発点になります。そのうえで、税金の扱いに疑問があれば税理士に、相続登記がまだ済んでいなければ司法書士に、遺産分割で意見がまとまらない場合は弁護士に、それぞれ早めに相談しておくと、いざ売却するタイミングで手続きが滞りにくくなります。

査定額の比較・税務・登記といった実務は、それぞれ専門分野が異なるため、一人で抱え込まずに窓口を分けて相談するのが結果的に近道になることが多いです。八王子市の住まカツのように、どこに相談すればよいか分からない段階から使える窓口もあるため、迷ったときはまず市の相談窓口に問い合わせてみるとよいでしょう。

参考文献

実家じまいで迷ったら

実家の片付けや相続、空き家の管理や解体など、実家じまいには多くの課題が伴います。「何から手をつければいいのかわからない」と悩むことも少なくありません。

一般的には、まずは実家がいくらで売れるか、無料の一括査定サービスなどを利用して市場価値を調べておくことが最初の一歩になります。

※現在、桑都手帖では実家じまいに役立つ提携サービス(一括査定・解体見積もりなど)の導入準備を進めています。準備が整い次第、こちらで推奨窓口をご案内いたします。

実家じまいや終活に関する記事は、カテゴリ「仕舞手帖」で順次公開しています。

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カヅキ

カヅキ

桑都手帖 編集者

ものづくりや意匠設計を学んだ経験をもとに、八王子の風土・歴史・伝統工芸を現代につなぐ記事を書いています。暮らしの手続きについても、調べたことをそのまま書き留めています。