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暮らしと法律 · 公開: 2026.10.02 · 7分で読めます

国民年金保険料、育児中は最大12か月免除 —— 2026年10月開始、自営業・フリーランスが知っておきたい新制度

2026年10月から、国民年金第1号被保険者も育児期間中の保険料が免除される制度が始まりました。対象者の条件、免除される金額と期間、申請方法を一次資料から整理します。

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2026年10月1日から、国民年金第1号被保険者——自営業者やフリーランス、農業者、学生、無職の方など——を対象に、育児期間中の保険料を免除する制度が始まりました。対象になるのは1歳未満の子を養育する実父母・養父母で、所得要件はありません。免除される保険料は月額17,920円、期間は実父・養父母で最大12か月間です。この記事では、誰が対象で、いくら・どれだけの期間免除され、どう申請すればよいかを、日本年金機構と厚生労働省の公式情報から整理します。


何が変わるのか——2026年10月から始まる育児免除の全体像

会社員や公務員が加入する厚生年金には、以前から育児休業中の保険料免除制度がありました。一方、自営業者やフリーランス、農業者、学生、無職の方などが加入する国民年金(第1号被保険者)には、育児を理由にした保険料免除の仕組みがありませんでした。この差を埋める形で、2026年10月1日、国民年金第1号被保険者の育児期間中の保険料を免除する制度が始まりました。

根拠になっているのは、「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律」(令和7年法律第74号)です。この法律は第217回通常国会に提出され、衆議院で修正のうえ2025年6月13日に成立しました。年金制度の機能強化を目的とした一連の改正のなかに、国民年金第1号被保険者向けの育児期間免除制度の創設が含まれています。

制度の運用は日本年金機構が担います。届出をすれば、該当する期間の国民年金保険料の納付が免除され、しかもその期間は「保険料を納付したもの」として将来の年金額の計算に反映されます。実は、国民年金第1号被保険者には2019年4月からすでに「産前産後期間の免除制度」があり、出産前後の一定期間の保険料が免除されてきました。今回の育児免除は、この産前産後免除の仕組みを土台に、対象期間を子が1歳になるまで広げたものと捉えると分かりやすくなります。詳しい条件は次節以降で見ていきます。


対象になるのは誰か——条件と、免除される金額

対象になるのは、国民年金第1号被保険者のうち、1歳未満の子を養育する実父母・養父母です。国民年金第1号被保険者とは、20歳以上60歳未満で、自営業者・農業者・学生・無職の方などが該当する区分で、厚生年金に加入する会社員・公務員(第2号被保険者)とは別の枠組みに属します。なお、厚生年金加入者に扶養される配偶者(第3号被保険者)は、もともと保険料を個別に納付する仕組みではないため、今回の育児免除の対象にはなりません。

免除の要件は、子と親子関係があること、子と同一住所であることの2点で、申請者本人の所得は問われません。つまり、所得が多いか少ないかにかかわらず、子を養育する第1号被保険者であれば対象になります。会社の売上や事業の調子が思わしくない時期でも、逆に好調な時期でも、所得水準によって対象から外れることはありません。

免除される保険料額は、令和8年度(2026年度)の月額17,920円です。対象期間中は、この金額がまるごと免除されます。単純計算すると、最大12か月間フルに免除を受けた場合、17,920円×12か月で合計215,040円分の保険料負担が軽くなる計算になります。子育てで出費がかさみやすい時期に、この金額をまるごと納めなくてよいというのは、自営業者やフリーランスにとって小さくない違いです。


免除される期間——実母と実父・養父母で違うルール

免除される期間は、出産した実母かどうかで異なります。

実母の場合、国民年金にはもともと産前産後期間の保険料を免除する制度があり、通常の出産であれば出産予定日または出産日が属する月の前月から4か月間、双子などの多胎妊娠であれば出産予定日または出産日が属する月の3か月前から6か月間が免除対象になります。この制度は2019年4月から運用されており、今回の育児免除はこの産前産後免除期間に引き続く9か月間が対象です。

一方、実父・養父母、そして産前産後免除の対象にならない実母は、子を養育する月から、子が1歳の誕生日を迎える前月まで、最大12か月間が対象になります。

つまり、出産した本人は「産前産後免除+育児免除」を合わせることで、出産前後から子が1歳になるまでの期間の保険料が、ほぼ途切れることなく免除の対象になります。出産していない配偶者や養父母は、育児免除単体で最大12か月分が対象になる仕組みです。産前産後免除と育児免除は別制度として扱われ、両方の届出(併給届出)をすることができます。


申請の方法と、将来の年金額への影響

申請方法は2通りあります。ひとつは紙の届出で、お住まいの市区町村の国民年金担当窓口に提出するか、郵送します。もうひとつはマイナポータルからの電子申請で、窓口に出向かずスマートフォンから手続きを完了できます。

必要な書類は、マイナンバーまたは基礎年金番号を確認できる書類が基本で、親子関係を示す書類や住民票は、住民基本台帳や戸籍情報との連携により原則として添付が不要とされています。これは、出産そのものの届出で住民票上の親子関係・同一住所がすでに確認できるためです。申請期限について具体的な定めはなく、「要件を満たした日以降、速やかに」届け出ることとされています。ただし、育児に追われるなかで忘れないよう、出生届を出すタイミングで合わせて手続きしておくのが現実的でしょう。

制度の施行日より前から子を育てている人にとっても、この制度は無関係ではありません。2026年10月1日より前から1歳未満の子を養育していた場合も育児免除の対象になり、施行日以降の月分の保険料が免除されます(施行前の月分がさかのぼって免除されるわけではありません)。すでにその月の保険料を納付済みであっても、届出をすれば育児免除期間として扱われ、納付済みの保険料は別の月の保険料に充当されるか、還付される仕組みです。つまり、2026年10月1日時点で1歳未満の子がいる家庭は、今から届出をしても間に合う可能性があります。

将来の年金額への影響という点では、この制度は一般の国民年金保険料免除制度(全額免除・一部免除など、所得が少ない人向けの制度)とは性格が異なります。一般の免除制度は、免除された期間が老齢基礎年金の受給額に反映される際、満額納付した場合よりも目減りします。これに対して育児免除は、産前産後免除と同様に、免除された期間も保険料を納付したものとして扱われ、老齢基礎年金の受給額に満額反映されます。保険料を払わずに、払ったのと同じ扱いで将来の年金額が計算される点が、この制度のいちばんの特徴です。


八王子で自営業・フリーランスとして働く人にとっての意味

国民年金第1号被保険者には、自営業者やフリーランス、農業者、学生、無職の方などが含まれます。桑都手帖でこれまで取り上げてきたインボイス制度やフリーランス新法、電子帳簿保存法といった制度変更の読者層——八王子で工房を構える職人や個人事業主——の多くも、この第1号被保険者に当てはまります。

これまで、育児期間中の保険料免除は厚生年金に加入する会社員・公務員だけの仕組みで、同じように子育てをしながら働いていても、働き方の違いによって受けられる支援に差がありました。今回の国民年金法改正は、この枠組みを第1号被保険者にも広げるもので、働き方にかかわらず育児期間中の保険料負担を軽くする制度が整ったことを意味します。

子育て中、あるいはこれから子を迎える予定のある自営業者・フリーランスにとっては、収入や事業の状況にかかわらず使える制度です。該当する可能性がある人は、まず自分が国民年金第1号被保険者かどうか、そして子の年齢が対象期間に当てはまるかどうかを確認するところから始めるとよいでしょう。出産を控えている場合は、産前産後免除の届出が出産予定日の6か月前から可能になっているため、育児免除と合わせて早めに制度の全体像を把握しておくと、手続きで慌てずに済みます。

夫婦で働き方が異なる世帯も少なくありません。たとえば一方が工房を営む自営業者(第1号被保険者)で、もう一方が会社員(第2号被保険者)という組み合わせの場合、会社員側は勤務先を通じた厚生年金の育児休業保険料免除の手続きになり、自営業者側は今回の国民年金の育児免除を自分で市区町村やマイナポータルから届け出る必要があります。加入している年金制度が異なれば、手続きの窓口も、提出する書類の様式も別々になる点は、夫婦のどちらかが見落としやすいところなので注意が必要です。


まとめ

2026年10月1日から、国民年金第1号被保険者も育児期間中の保険料免除を受けられるようになりました。対象は1歳未満の子を養育する実父母・養父母で所得要件はなく、月額17,920円が、実母なら産前産後免除に続く9か月間、実父・養父母なら最大12か月間免除されます。免除期間も老齢基礎年金の受給額に満額反映される点も見逃せません。

手続きの詳細や個別の事情については、お住まいの市区町村の国民年金担当窓口、または日本年金機構にご確認ください。制度施行前から子を養育している場合でも、届出をすれば2026年10月1日以降の月分は免除の対象になり、納付済みの保険料は充当・還付されます。すでに子育て中の自営業者・フリーランスも「もう間に合わない」と諦めず、一度条件を確認してみる価値があります。

会社員でも公務員でもない働き方を選んでいる人にとって、これまで手薄だった育児期間の年金保障が一歩前進した、という変化です。


参考文献

日本年金機構「令和8年(2026年)10月から国民年金保険料の育児免除制度が始まります!」「国民年金保険料の育児免除制度」「国民年金保険料の産前産後期間の免除制度」 / 厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」

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カヅキ

カヅキ

桑都手帖 編集者

ものづくりや意匠設計を学んだ経験をもとに、八王子の風土・歴史・伝統工芸を現代につなぐ記事を書いています。暮らしの手続きについても、調べたことをそのまま書き留めています。